がんを生きる:/54 肝臓がん/中 「治療法は自分で探す」 /大阪

がんを生きる:/54 肝臓がん/中 「治療法は自分で探す」 /大阪

◇山芋パスタ・漢方薬・瞑想も 1カ月後劇的変化
 「手術はできません」。医師にそう告げられた06年12月、吉村光信さん(54)=千葉県浦安市=の治療法探しが始まった。手術のために受診したのに、肝臓のがんはいつの間にか血管内を伝って心臓に達していた。いつ、ぽっくり逝ってもおかしくないという。

 医師は図を描いて説明し、「確実な治療法はない」とも記入した。吉村さんは落ち込むことなく宣告を受け入れたが、「手術できると思っていた患者が、突然このような説明を受けたらかなり落ち込むのでは……。デリカシーに欠けた医師の言葉に疑問を持ちます」と、あの日を振り返る。

 医師の言葉にもひるまず、「自分にベストの治療法は自分で探すしかない」との思いであらゆる方法を試した。臨床研究段階の抗がん剤、友人に教わった2種類のサプリメント、薬剤師の妻(45)と友人の医師が勧めた山芋パスタ、さまざまな漢方薬、古代インドから伝わる伝統療法、イメージ療法--。免疫細胞療法は途中でやめた。別の目的で行った血液検査で、一度は増えた白血球が、がくんと減っていたからだ。

 自らの免疫力を高める方法を心がけた。「人間には本来、自然治癒力が備わっている。免疫の働きに、生命の不可思議さを感じる」。以前から生命の神秘に関心を持ち、大学では生物学を専攻した。

 抗がん剤治療のための入院中、“病人らしい生活”は避け、昼間は書店や国会図書館で過ごした。長年実践する瞑想(めいそう)も続けた。

 「がん細胞も元来は自分の細胞。生命を維持するのに必要な能力が暴走した細胞だ。敵とは見ずに、瞑想では至福に満ちた光でがんを癒やすことをイメージした。不良の息子を慈しむように、『こんなに追いつめてごめんね』と」

    ◇

 抗がん剤治療を始めて約1カ月後。がんの様子を目で見たくて、超音波検査を頼んだ。医師は「1カ月もたってないのに、効果は見られませんよ」と言いつつ、CT(コンピューター断層撮影)を撮ってくれた。その画像に、医師は驚いて言った。「劇的に効いてますよ」。ほっとした。心臓の中のがんが小さくなっていた。

 やがて心臓からがんは消え、約5センチあった肝臓のがんも縮小。手術を勧められ、07年6月、肝臓の病巣を切除した。これまで、がんが再発する兆しは一切ない。

 何がよかったのかは分からない。吉村さんは、代替医療について「高額なものも多いが、安心が得られるなら、経済的に許される範囲で利用すれば問題ない。プラシーボ効果(心理的な治療効果)も重要です」とアドバイスする。【根本毅】

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