市区町村のがん検診予算伸びず 交付税2倍でも倍増1割

市区町村のがん検診予算伸びず 交付税2倍でも倍増1割

がん検診の受診率を上げるため、国が地方自治体に払う地方交付税のうち、がん検診への利用を見込んだ分が今年度2倍に増えた。しかし、それを受けてがん検診予算を倍増させた市区町村は1割にとどまることが日本対がん協会のアンケートで分かった。

 総務省は今年度の地方交付税のうち、がん検診向けの分を前年度の2倍の1300億円にした。交付税は他の目的の分を合わせて一括して払われ、使い方は自治体の判断に任されるので、国の狙い通りになるとは限らない。

 同協会は9、10月、全国1797市区町村のがん検診担当者にアンケートした。回収率は62%だった。

 がん検診事業の予算が倍増したかを質問すると、「倍増した」と答えた自治体は10%にとどまり、86%が「していない」と回答。「していない」と答えた自治体の36%が「他に優先順位の高い施策がある」を理由に挙げた。「インフラ不足」「医師不足」とする自治体も35%に上った。

 がん検診の受診率を上げるため対象者に個別に連絡している自治体は2割。こうした自治体では今年度のがん検診予算が昨年度より平均2割増えた。連絡しない自治体ではほぼ昨年度並み。受診率向上に熱心な自治体ほど交付税増額に機敏に反応していた。

 対象者に個別に連絡する自治体の受診率(%)は、連絡しない自治体に比べて、昨年度、各種がん検診で3~8ポイント上回った。対象者へのきめ細かい働きかけが受診率を押し上げることが確かめられた。

 今年度補正予算に盛られた子宮がんや乳がんの検診の無料クーポン券については、77%が「受診率向上に役立つ」と回答。がん検診の効用などを解説する手帳を「役立つ」としたのは38%だった。

 同協会の塩見知司事務局長は「交付税ではどこまでががん検診向けか分かりづらく、予算倍増につながらなかった。お金を配布する方法を見直し、特に対象者への個別の連絡を後押しする方法を考えるべきだ」と話している。

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