Dr.中川のがんから死生をみつめる:/36 予防に重要な食育

Dr.中川のがんから死生をみつめる:/36 予防に重要な食育

 内閣府が10月に発表した、がんに関する意識調査の結果は、非常に興味深いものでした。「がんを知らない日本人の姿」が、くっきりと浮き彫りにされていたからです。

 調査は、20歳以上の3000人を対象に実施、1935人が回答しました。がんの印象としては、「こわい」が75・7%で、がんに対する恐怖心は、国民共通のものといえます。しかし、がんの予防のために日ごろから実践していることを聞いたところ、「焦げた部分は避ける」をあげた人の割合が43・4%とトップで、「たばこは吸わないようにする」の42・7%を上回りました。

 たばこは、がんの原因の3割を占める、最大の発がん物質です。つまり、がんの予防には、まず禁煙が一番です。一方、肉や魚などの焦げは、それほど問題ではありません。

 1978年に国立がんセンターが発表した「がんを防ぐための12カ条」の中に「焦げた部分はさける」という一文があります。肉や魚などの焦げには、ヘテロサイクリックアミンという発がん物質が含まれます。これを化学的に合成して、実験動物に与えたところ、発がん性が確認されたのです。ところが、私たちが日常食べる焦げには、ごく微量の発がん物質しか含まれません。焦げだけを食べているのならともかく、普通の食事で焦げを食べても、がんができやすくなる心配はまずありません(実際、僕も食べています)。

 また、焼き魚と相性抜群の大根おろしには、焦げの発がん物質を分解する酵素が含まれています。改めて、先人の知恵には脱帽です。肉と野菜を一緒に食べるバランスのよい食事は、発がんを抑える点でも大切だといえるでしょう。さらに、青魚の脂や、みそや豆腐に含まれる「大豆イソフラボン」には、発がんを抑える効果があります。日本古来の伝統的な食事は、がんを防ぐものといえます。ただし、塩分を控えめにすることを忘れてはいけません。

 一方、過去50年で、肉の摂取量は10倍に増え、野菜摂取量は年々減っています。肉の食べすぎは、大腸がん、前立腺がんなど、欧米に多いがんを増やすとされます。食育は、がんとも関係が深いのです。

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