さわやかな風のように がんと闘う屋良さんライブ再開

さわやかな風のように がんと闘う屋良さんライブ再開

一音、一音に魂を込めて―。ジャズピアニストの屋良文雄さん(69)が前立腺がんと闘いながら月に1度のライブを開催している。体の底からありったけの力を振り絞り、思うように動かない指で奏でる魂の演奏だ。屋良さんは「自己主張ではなく、さわやかな風がさっと流れているようなピアノが弾きたい」と、入院してからも大好きな音楽に情熱を注ぐ。
 子どものころから音楽が好きだった屋良さん。「三度の飯より好き。ご飯を食べる時間も、眠る時間ももったいない。ずっとピアノを弾きたかった」と話すほどピアノに夢中になり、独学で学んだ。琉球大学在学中から米軍基地内でプロのジャズピアニストとして活躍。国内外で幅広い演奏活動を行ってきた。
 2008年10月、前立腺がんの手術を受けた。その後、ライブを続けていたが、ことし6月、2度目の手術を行い、単独ライブを控えていた。
 最近は、脊髄(せきずい)にできた腫瘍(しゅよう)が神経を圧迫し、ピアニストの命ともいえる指がしびれる。特に左手のしびれがひどい。頭でメロディーが流れても指が追い付かないという。「悔しい。超悔しいんだけど、挑戦したい」と屋良さん。病室にキーボードを持ち込み、音楽と共に過ごす。
 「ずっと病院じゃ寂しいから毎月コンサートをやろう」と11月、那覇市開南のコーヒーハウスぽえむ那覇開南店でライブを再開した。屋良さんの演奏でボーカルが歌うライブで、毎月歌い手が変わる。
 12日に同店で開かれた「JAZZ LIVE シャンソンの夕べ」では全12曲のうち「愛の賛歌」や「マイ・ウェイ」など9曲を披露した。ボーカルの中村清美さん(57)は屋良さんの体調を考慮してギターの弾き語りを3曲入れた。
 屋良さんが全身全霊をささげた1時間余のステージ。約60人の観客は1曲、1曲に温かい拍手を送り、最後は全員で「オー・シャンゼリゼ」の大合唱となった。
 「ステージでピアノを弾ければ幸せ。しびれがひどくなってくるとヤバイかなと思うけど、考えないようにした。聞いた人が『いい風』だと思えるようなピアノを弾きたい」と穏やかな表情で語る屋良さん。来月のライブも心待ちにしている。

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