「生欲わいた」アラーキー、がんと向き合い「遺作」出版

「生欲わいた」アラーキー、がんと向き合い「遺作」出版

 “天才アラーキー”こと、写真家の荒木経惟(のぶよし)さん(69)が、自身のがんと向き合っている。秋に「東京ゼンリツセンガン」と題した写真集を出し、21日には「遺作 空2」という豪華作品集を出版。荒木さんは、「撮ろうという気持ちは前より強くなったね」と話している。

 昨年秋に前立腺がんが分かり、同11月に手術した。荒木さんらしい街の風景やヌード写真に、自分のおなかの手術跡などの写真も加え、ワイズ出版から本にしたのが「東京ゼンリツセンガン」だ。「がんだと分かった時は、まいったな、という感じで。でもあたしの写真は日記だからさ、そこに手術の写真も入ってくるんだ」と話す。

 体の調子は安定しているが疲れやすく、大丈夫という思いと不安とが交錯するという。荒木さんは1990年に亡くなった妻の死に顔や、枯れた花を撮るなど、死の気配が漂う作品でも知られる。そして死をどこかで思いながら作った本が「遺作」だ。

 自宅から撮った空の白黒写真に、絵や文字をかき加えたり、別の写真を張り付けたり。撮影は「書き初め」として今年の1月2日に始め、その写真に「癌(がん)」と筆で大書きした。

 最後の撮影は、8月15日の空。そこには自分の赤ん坊時代の裸の写真を張ってみた。終戦記念日に、新しいものが始まる意味をこめたのだ。

 本を出した荒木さんは、こう話している。「遺作っていうタイトルと自分の写真が、一番の薬になるね。撮り続けることが生きること。まだまだ、あたしはこんなもんじゃない、と『生欲』がわいてきた。まわりが応援してくれるんだな、人間も空も」(大西若人)

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 「遺作 空2」は新潮社から3万4650円。同名の個展が1月9日まで、東京都江東区清澄1の3の2のタカ・イシイギャラリーで開催中。

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