Dr.中川のがんから死生をみつめる:/37 「後進国」脱却は教育から

Dr.中川のがんから死生をみつめる:/37 「後進国」脱却は教育から

今、日本人の2人に1人が、がんになり、3人に1人が、がんで亡くなっています。この割合は世界一ですが、国民のがんに関する知識は、きわめて乏しいのが実情です。

 内戦はおろか、徴兵制もない現在の日本では、がんほど強く死のイメージを持つものはないでしょう。ところが、核家族化が進み、病院で死ぬ人が9割近くを占める現状では、子どもも大人も、老いや死を目の当たりにすることが少なくなってしまいました。「がんを知る」ことが難しくなっている大きな理由です。

 いまさら大家族制に戻ることができない以上、「学校でのがん教育」が重要です。しかし、学校でがんを教える機会はほとんどありません。多忙を極める現場の先生の負担を最小限に抑えながら、生徒の自主性も尊重した「がん教育」が大切です。もちろん、文部科学省との連携が前提となります。

 対象の学年は、中学3年が最適です。義務教育の最終学年であり、遺伝子や細胞分裂などの基礎となる知識の習得を終えた段階だからです。

 「中学生にがん教育とは」と、時期尚早に思われるかもしれません。しかし、子宮頸(けい)がんは20歳代で急増しており、厚生労働省の指針でも、20歳から検診を受けるべきだとされています。15歳の中学3年生にとって、わずかに5年後のことです。

 子宮頸がんの原因は、性交渉に伴うウイルス感染ですから、海外では10歳代前半の女子にワクチンが投与されています。性教育とがん教育は不可分ですが、どちらも立ち遅れているのが日本の現状です。

 そこで、がんを分かりやすく、自発的に学習できる教材を無償配布するボランティア活動の拠点として、今月16日、日本対がん協会に「がん教育基金」(電話03・5218・4771)を開設しました。学校の授業は、生徒1人あたり100円程度で実現できます。これは家族へのがん啓発にも役立つでしょう。中学3年は全国に約120万人いますから、年約1億2000万円で中学3年へのがん教育が実現します。これが、日本が「がん対策後進国」から脱却する唯一の方法と信じています。ご支援をよろしくお願いします

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