Dr.中川のがんから死生をみつめる:/38 からだと宇宙との関係

Dr.中川のがんから死生をみつめる:/38 からだと宇宙との関係

明けましておめでとうございます。新年最初の連載は、スケールの大きな話から始めましょう。

 私たちのからだと宇宙との関係についてです。人体の6~7割は水でできています。水の分子は、水素と酸素からできていますが、水素原子は、137億年前の宇宙誕生の直後にできたものです。ワインにたとえれば、私たちのからだは「137億年もの」といえるのです。

 酸素原子や炭素原子は、太陽のような星の内部で「核融合」によってできました。核融合では、水素原子(もっとも小さな原子)を出発点に、原子核が融合を繰り返し、大きな原子を作ります。太陽くらいの大きさの星では、元素の周期表で言えば原子番号12のマグネシウムくらいまでの元素がこのように作られます。

 太陽の10倍くらいの大きさの星になると、星の内部の核融合によって原子番号26の鉄まで作ることができます。鉄は、赤血球のなかにある「ヘモグロビン」の材料として欠かせません。鉄分が足りなくなると息切れするのは、ヘモグロビンが酸素を運搬しているからです。

 ところが、鉄は非常に安定した元素のため、これより大きな元素を核融合によって作ることはできません。こうした重い元素は、「星の死」によって作られるのです。

 太陽の10倍以上の大きな星は、長年燃え続けた末に、「超新星爆発」という大爆発を起こして一生を終えます。突然、新しい星が生まれたように明るく輝くので「超新星」と呼ばれますが、実は星の死の瞬間のきらめきなのです。

 この超新星爆発の巨大なエネルギーによって、鉄よりも重い元素が作られると考えられています。たとえば、甲状腺ホルモンの合成に必要なヨードは、鉄よりも重い元素ですから、超新星爆発でできたものです。

 夜空のどこかの星の死によって、宇宙空間にまき散らされた元素が、今の私たちの命を支えています。そして私たちの死によって、それらの元素は大地や空気の一部に戻ります。さらに、約50億年後に太陽系が消滅すると、星々の元素は再び宇宙に返り、新しい星の一部になります。私たちの命は宇宙の一部なのです。

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