がんに負けない/盛岡の坂本さんが個展

がんに負けない/盛岡の坂本さんが個展

がんと闘いながら絵筆を執る盛岡市の坂本徳子(のり・こ)さん(69)が、11日まで仙台市青葉区のせんだいメディアテークで「花とねこ」と題した個展を開いている。昨年12月、娘たちの後押しで初の個展を盛岡市で開き、生まれ故郷の仙台でも作品を披露することになった。「がんで苦しむ人たちの励みになれば」。坂本さんはそう願っている。

 坂本さんは、夫とともに絵を趣味としていた。夫は11年前にがんで亡くなったが、病床でも絵筆を離さなかったという。以来、独自に研鑽(けん・さん)を積み、絵画の腕を磨いた。

 一昨年春、もう一つの趣味のフルートを手に取ると、右腕に痛みが走った。「筋肉痛かな」。しかし、病院の診断は末期がん。「このままなら余命6カ月。抗がん剤などの治療をしても2年」。思いもよらない宣告に動転し、落ち込んだ。手術を受け、今も抗がん剤が欠かせない。

 ふさぎがちな日々を支えたのが絵だった。ある日、飼い猫がシクラメンをのぞいていた。すると、光が当たって顔がピンク色に染まった。それを見て夢中で筆を進めた。「描いているときだけ痛みを忘れられた」

 抗がん剤の影響で、手は思うように動いてくれない。一つの作品を仕上げるのに2カ月かかることもある。それでも絵を描き続けた。

 「だれかに見せないともったいないよ」。半年前、長女の小笠原まどかさん(44)、次女の甲斐めぐみさん(42)が個展を勧めた。坂本さんが描きためた絵を家の中から探し集め、案内状も作った。「娘たちのためにも明るく生きないと」。そして盛岡市での個展が実現した。坂本さんは「家族の助けがあってこそ出来ること」と話す。

 仙台市での個展は8日から始まった。飼い猫や花々を素材に、ペン、油絵、水彩、パステルなどさまざまな画材を使った41点が展示されている。来場者を迎える坂本さんは「柔らかい色を使うと心が和みます」と笑顔で話す。肺炎の後遺症で発作に悩んでいるという仙台市青葉区の男性(74)は「これだけの絵を描いた精神力がすごい」と勇気づけられた様子だ。

 7月には、銀座で次女の甲斐さんと絵画展を開く予定で、「涼しげな作品も描きたい」と坂本さん。長女の小笠原さんは「目標が生きる力になっているようです」と話した。

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