がん拠点病院の半数「手術待ち延びた」

がん拠点病院の半数「手術待ち延びた」

日本人に多いとされる胃と肺、乳がんについて、診断確定から手術までの「手術待ち期間」に変化がないかを、中部地方のがん拠点病院に本紙がアンケートしたところ、ほぼ半数が3つのがんのいずれかで、最近5年間に「延びたと感じている」ことが分かった。現在の手術待ち期間は最長で「3カ月」との回答もあった。病院側は拠点病院への患者集中や外科医、麻酔科医不足を主な理由に挙げている。

 アンケートでは2009年の手術待ち期間は05年と比べてどう感じるかを「延びた」「変わらない」「短縮された」の3択などで聞いた。

 3つのがんで1つでも「延びた」と答えたのは、回答のあった63病院のうち32、51%に上った。がん別にみると、肺がんでは35%、乳がんは34%、胃がんは31%が「延びた」と答え、いずれも3割を超えた。

 がんの進行度にもよるが、医学界では一般的に1カ月未満が望ましいとされる手術待ち期間は、肺がんでは1カ月以上の回答が4割を占めた。岐阜県のある病院は「2~3カ月」と答えたほか、「2カ月」「1・5~2カ月」「1・5カ月」とした病院が、それぞれ1病院ずつあった。

 1カ月以上の回答は、乳がんでは45%、胃がんでは37%を占め、どちらも最長は2カ月だった。

 ほとんどの病院は「がんの進行度によって優先順を調整しており、患者が危険になった例はない」と答えたが、中には「手術時にがんの進行を感じた」(静岡県の病院)や「腫瘍(しゅよう)が増大した」(愛知県の病院)との回答もあった。

 延びた理由は、32病院のうち72%が患者の大病院志向や、中小病院の手術数減少による患者増を挙げた。外科医不足の影響は53%が指摘。麻酔科医不足などによる手術室稼働時間の減少も5割が挙げ、手術室が空いている他院に出張して執刀したり、午後5時以降に手術を組んでいる所もあった。

 愛知県がんセンターの二村雄次総長は「基本的には告知から手術まで1カ月以内が理想で、2カ月も待たされたら患者は地獄だろう。しかし、がん拠点病院には患者が集中し、激務で勤務医がどんどん辞めていっているのが共通の悩みだ」と話している。

 【調査の方法】 昨年11月20日~12月末、中部9県(愛知、岐阜、三重、長野、福井、滋賀、静岡、石川、富山)にある全67のがん診療連携拠点病院に調査。書面を基に面会や電話で聞き取りした。手術待ち期間は、担当医らの現場感覚で答えてもらった。

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