乳がん患者も気軽に温泉

乳がん患者も気軽に温泉

乳がんで乳房を手術した女性も、気軽に温泉を楽しんでほしい――。そんな思いを込めた入浴用タオルを平川市の「ぬいっ子本舗」社長、葛西紀子さんが考案し、販売している。葛西さん自身、乳がんで右の乳房を失っている。人前で裸になる「ためらい」をタオルで克服できた自らの経験を、同じ状況の人たちに広げたいと思ったからだ。2月には温泉を会場にした「乳がん患者の集い」も初めて開く予定だ。(大西史晃)

 葛西さんは東京の出版社で働いていた05年、入浴中に右胸の異変に気付いた。病院で乳がんと診断され、同年4月に手術。右乳房を失った。40代半ばのころだった。

 大の温泉好きだったが、手術後は人の視線が気になり、温泉通いをためらうようになった。そんな時、背中を押してくれたのが、今は亡き母ぬい子さん。ぬい子さんも乳がんで右乳房を失っていたが、「タオルをかければ、わからないよ」と言ってくれた。

 ただ、普通のタオルではうまく隠せない。そこで考え出したのが独自の形のタオル。「自分の分だけ作って満足するより、みんなに教えてあげたい」。そんな思いもあり、東京から実家のある平川市に帰って08年に会社を設立。母の名前と、タオルを「縫う」をかけて「ぬいっ子本舗」という社名にし、一般向けに販売することにした。

 商品名は、英語のコンシール(隠す)から「コンセル」に。長さは約1メートル10センチで、女性が首から掛けて両胸を隠せるようにし、片方にパットを付けた。それによって切除された胸の部分が盛り上がって見える。パットの位置は調節可能。タオルのすそを絞る機能も付け、パットなしでも膨らみを持たせられる。色も人肌に近いオレンジで、「自然な感じに見えるようこだわりました」

 コンセルの注文第1号は意外にも男性から。「奥さんのためにと、電話で注文がありました。次の注文も男性から。今でも半分ぐらいは贈り物用のようです」。インターネットでの販売が中心で、日に1、2個の注文が舞い込む。値段は1個3990円。

 2月20日からは1泊2日で「乳がん患者の集い」を開く予定だ。会場は青森市の酸ケ湯温泉。同じ悩みを持つ人が温泉を楽しみながら、ゆっくりと話し合ったり、治療法について学んだりする場をつくろうと企画した。

 コンセルも体験でき、新規の温泉客の開拓につなげることで、温泉の豊富な青森の活性化にもつなげたいという。県の「09年度医療・健康福祉関連産業ビジネスモデル構築事業」に選ばれ、行政のバックアップも得られた。

 乳がんに続いて今は、大腸がんなどで人工肛門(こう・もん)をつけなければいけなくなった人のために、下半身に巻けるアンダーコンセルも開発中。さらに将来は、もっと大きな夢がある。「『ぬいっ子の里』をつくってみたいんです。がん患者が和んで元気になって帰れるような宿泊施設を」

 「集い」の料金は食事込みで1万6千円が基本。申し込みは同社(0120・454・834)へ。締め切りは今月末。

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