がん転移「足」くっきり 東北大グループ解析装置開発

がん転移「足」くっきり 東北大グループ解析装置開発

東北大大学院医学系研究科の権田幸祐講師(医工学)と大内憲明教授=腫瘍(しゅよう)外科学=らの研究グループは、動物の生体内でがんが転移する様子を分子レベルで画像確認することに初めて成功、これによりタンパク質の移動速度が変化していることを突き止めた。がんの新たな治療法の開発や、悪性度診断への応用が期待されるという。

 がん転移を引き起こす「細胞膜タンパク質」や抗がん剤の分子サイズはこれまで、生体内では観測できなかった。従来、生物内で観測できたのは1000ナノメートル(1ナノメートルは100万分の1ミリ)の精度だったが、分子サイズは数ナノメートルから100ナノメートルという。

 グループは9ナノメートルで解析できる装置を開発。マウスの背中下部にヒトの乳がん細胞を注入した後、がん細胞にある細胞膜タンパク質に蛍光物質を結合させることによって、動きをとらえた。

 その結果、がん細胞が血管に近づくにつれて、細胞膜タンパク質の移動速度は約10~300倍に増加。また、がん細胞が進行する方向に、足のようなものを出していることも分かった。

 さらにがん細胞が血管内に入ると、細胞膜タンパク質の移動速度は血管から離れた場合の約1100倍に達した。移動速度が上がると、他の物質と衝突しやすくなるため、がん転移が活性化される可能性があるという。

 細胞膜タンパク質の移動速度を指標にすれば、がんの進行段階を調べる手段にもなりうる。権田講師は「がん転移のメカニズム解明につながるだけでなく、抗がん剤との相互作用そのものも見られるようになって、開発中の治療薬の効果を詳細に調べることも可能になる」と話している。

 成果は東大などとの共同研究で、米生物化学誌「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」電子版に22日、掲載される。

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