『がん余命1年』魂の舞台 平林恒茂さん 22年ぶり演出

『がん余命1年』魂の舞台 平林恒茂さん 22年ぶり演出

 がんに侵され、昨年八月に余命一年と宣告された舞台監督平林恒茂さん(54)が、二十二年ぶりに演劇の演出に取り組んでいる。平林さんは一九七〇~八〇年代に複数の劇団で演出家として活躍したが、近年はディズニー関連のイベントを手掛けるなど、長い間演劇から離れてきた。平林さんの「もう一度、舞台をやりたい」という情熱に動かされ、かつての仲間たちが“最後の舞台”に集まった。 (中沢穣)

 平林さんは七六年から十年間、余貴美子さんや吉田日出子さんらを輩出した劇団「オンシアター自由劇場」に在籍し、退団後は劇団「THE PIT」を旗揚げした。八八年に同劇団を解散させてからは、ディズニー関連のイベントなどを手掛けてきた。

 二〇〇八年十二月、のどの強い痛みから検査を受けると下咽頭(いんとう)がんと判明。手術を受けたが、昨年八月に再発。リンパ節にも転移し、医師から「余命半年から二年、おそらく一年もたない」と告げられた。

 きっかけは、「元気なうちに会いたい」と訪ねた仲間にふと漏らしたひと言だった。「もう一度、舞台をやりたい」。自由劇場とTHE PITに在籍した女優阿部朋子さん(46)は「迷わずやろうと思った」と話す。

 だが、平林さんと同様に演劇から離れた仲間も少なくない。居酒屋の店主、塾講師、主婦。阿部さんも子育て中だ。

 「若いころと違い、今はそれぞれ仕事も家庭もある。でもみんな後悔したくなかった」。すでに中年となった仲間たち約三十人が出演者や裏方に名乗りをあげ、十一月からけいこが始まった。

 平林さんは二日に吐血し、現在は入院先からタクシーでけいこ場に通う。「大声を出さない」「興奮しない」との条件付き。「体がどうなるか分からない不安はあるけど、みんなが背中を押してくれる。うれしい」

 演目は、八三年に平林さんが演出した恋愛音楽劇「オーカッサンとニコレット」。身分の違いから結ばれない男女の物語が、旅芸人たちの語りと歌に乗せて紡がれていく。公演は二十~二十四日、東京都新宿区下落合三のアイピット目白で。問い合わせは、喜玖蔵=電03(3473)5478=へ。

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