小児がん 治る確率高く 聖路加国際病院副院長 細谷亮太氏に聞く

小児がん 治る確率高く 聖路加国際病院副院長 細谷亮太氏に聞く

治療が困難だった小児がんが、近年、医学の進歩などで治るようになってきた。その一方で、治療の影響と考えられる合併症や就学、就職などでの支障が浮き彫りになっている。小児がん治療に長くかかわる細谷亮太・聖路加国際病院副院長(小児総合医療センター長)に現状や必要な対応を聞いた。 (野村由美子)

 -小児がんの治療成績が上がってきたと聞きますが。

 抗がん剤の進歩が大きいです。小児白血病、小児脳腫瘍(しゅよう)、神経芽細胞腫といった小児のがんは、血液や筋肉、骨から出てくる、いわゆる肉腫と呼ばれる種類のがん。大人に多い粘膜の表層から出てくる上皮性のがんと異なり、発生した途端に体中に広がる傾向があります。

 一方で抗がん剤が非常によく効きます。一九四八年に最初の抗がん剤による白血病治療が報告されて以降、十年に一つほどの割合で画期的な抗がん剤が出て、治る患者が増えてきました。

 抗生物質や輸血などによる治療のサポートが非常に進んだこと、医師同士の連携や共同研究などで、的確な治療が選択できるようになったことも大きいです。今は七割五分から八割近く治るような時代になったといえます。

 -新たな課題も出てきました。

 治療が原因で出る副反応、二十年、三十年たってから生じる晩期合併症といった問題です。幼い体に抗がん剤や放射線を使うことで、ホルモン分泌や神経系、骨、生殖細胞の発育などに支障を来すことがあります。身長の伸びや知能、生殖機能、心機能、腎機能などに影響が出たり、二次がんが発症したりします。

 -どんな対応が必要でしょうか。

 医学的に目指すのは、晩期合併症を起こさないように治すこと。もし起きてしまったときは早めに対応する。それでも残ってしまう疾患や障害に対しては、社会的にも受け入れる態勢をつくることが大切です。就学や就職が困難になったり、いじめの問題もあります。そんな中、国の研究班で進める「長期フォローアップ外来」や市民ベースの「ハートリンク共済」など、さまざまな取り組みが始まっています。

 小児がんを克服した患者に対し、「治ったからいいじゃない」と言う時代は過ぎました。小児がんは、何かをしたからなるという病気じゃない。誰もがなる可能性がある。死ぬかもしれないところを通り抜けて、何とか治った後に、晩期合併症などの問題を抱えたとしても、温かく支える社会でないと。何か起こっても医療をちゃんと受けられる、具合が悪いときには、悪いままでも生活や遊びも楽しめる。家族を含めて全体的なサポートが必要です。

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