子宮頸がん ワクチン発売

子宮頸がん ワクチン発売

20~30代の若い女性が最も多くかかるがんは「子宮頸(けい)がん」。予防できる唯一のがんで、予防ワクチンが昨年末、国内で発売された。予防効果は5~7割とされ、がん検診と合わせれば、がんをほぼ防ぐことができる。だが、日本の受診率は諸外国に比べ著しく低く、さらに県内は全国最下位と低迷。ワクチンに期待する声も多いが、接種には高額な費用がかかるため、普及には公費負担が鍵になりそうだ。
(斎藤靖史)

  ■ 女性に接種費ズシリ

  ■ 高率の予防効果 公費負担カギ

  長門市に住む40代の女性は、37歳の時に検診で子宮頸がんが分かった。進行は初期段階だったが、再発の危険性を考えて子宮を全摘出した。「私は3人の娘を産んでいたからよかったが、結婚や出産を控えた人には子どもが産めなくなる心理的な負担もあると思う」。ワクチンに寄せる期待は大きく、中学生の娘に「ワクチンで防げるなら受けて欲しい」と伝えたという。

  子宮頸がんは、子宮の入り口付近にできる。国立がんセンターによると、毎年約1万5千人がかかり、約3500人が亡くなっている。国内では30代後半から40代に多いが、低年齢化が進んでいる。

  性行為によるヒト・パピローマ・ウイルス(HPV)の感染が原因で、女性の約8割が一生に一度は感染するとされる。ほとんどは自然に排除されるが、何度でも感染し、感染が長く続くとがんに変化する危険性がある。感染前の10代前半での接種が効果的とされているが、成人女性も接種により再感染を防ぐことができる。

  子宮頸がんのワクチンは厚生労働省の承認を受けて、昨年末、発売された。接種対象は10歳以上。製薬会社によると、県内では35カ所の医療機関で接種が可能だ。

  ただ、現在のワクチンの予防効果は5~7割ほどとされ、がん検診は欠かせない。厚労省の2007年国民生活基礎調査によると、全国の受診率は21・3%。経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均値64%と比べ著しく低く、データがある加盟国内で最下位。全国最下位の県内は16・6%で、その4分の1ほどにとどまる。

  「ワクチンの効果に期待している。まずは若い女性に知ってもらうことが大切」。今月12日から接種を始めた徳山中央病院産婦人科(周南市)の沼文隆主任部長はそう訴える。ただ、県内では産婦人科医を対象とした研修会を23日に初めて山口市内で開いたばかりで、一般への啓発活動はまだこれからだ。

  また、高額な接種費用も普及のネックとなっている。ワクチンは半年間で3回打つ必要があるが、費用は計4万~6万円ほどで全額自己負担。公費による助成はない。沼部長は「女性みんなが感染する可能性があるので、接種を広めるには公的補助が望ましい」と指摘する。実際、新潟県魚沼市や埼玉県志木市、兵庫県明石市は独自に新年度からの全額助成を打ち出した。

  「子宮頸がんワクチンの任意接種を促進する」とマニフェストに明記した民主党。鳩山由紀夫首相は、20日の国会で公費負担について「出来る限り早期に実現できるように努力してまいりたい」と答弁した。

  ただ、ワクチンのあり方を総合的に検討する厚労省の厚生科学審議会予防接種部会は昨年末に設置されたばかりで、子宮頸がんワクチンの検討はまだされていない。厚労省がん対策推進室は「公的負担の検討はしていく」との方針を示しているが、予算確保など具体的な見通しは立っていないのが現状という。

 接種可能な医療機関は、ワクチンを製造するグラクソ・スミスクライン社の情報サイト(http://allwomen.jp/)などで確認できる。

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