社説:本県のがん対策 ワースト脱却へ本腰を

社説:本県のがん対策 ワースト脱却へ本腰を

がんの死亡率が12年連続で全国ワーストとなっている状況から脱却しようと、県は2010年度の組織再編に合わせ、がん予防対策を担うチームを健康推進課内に新設する方針を決めた。ようやくとの感もあるが、ここは一歩前進と評価したい。がん対策推進の司令塔として機能させ、予防に関する県民運動の一層の盛り上げを図るべきである。

 がん対策基本法が07年に施行されたのを受け、本県でも行政サイドの動きは活発化しつつある。08年度からは県がん対策推進計画が5カ年計画でスタートし、予防、検診、治療の3分野を軸に総合対策を実施中。10年度から4年間の県政運営指針となる「ふるさと秋田元気創造プラン」(仮称)でも、死亡率引き下げなど数値目標を設定して対策強化を打ち出している。

 しかし、こうしたがん対策の趣旨や事業が県民に十分浸透しているとは言い難い。がん検診の受診率は部位別で10〜30%台にとどまっており、検診で精密検査が必要とされた人の本県の精検受診率も全国平均を下回っている。受診率がアップすれば早期発見の割合が高まり、死亡率が低下するのは自明。まずは受診率を引き上げることが最優先課題の一つと言えよう。

 他県では、がん対策に官民挙げて取り組んでいる意欲的な事例も見受けられる。08年のがん死亡率(人口10万人当たり)が353・5で、本県の355・6に次いで高い島根県では、06年に全国初の「がん対策推進条例」を制定。県と市町村が連携してきめ細かな啓発キャンペーンを展開しているほか、各界の代表が賛同人となって「がん対策募金」も実施している。

 同募金には一般県民はもちろん、スーパーなどの事業所も売り上げの一部を寄贈するといった形で積極的に応じており、開始から3年間で募金実績は6億6千万円を突破した。その善意で最新の医療機器を購入して医療機関に提供、県民が検診や実際の治療でその恩恵にあずかるという仕組みであり、予防に対する機運盛り上げに大きな役割を果たしているという。

 民間を巻き込んだ全県的ながん対策活動は本県では行われていないが、新たな試みが目立ってきたのは心強い。昨年11月には県と金融機関などが共同で受診率アップを目指す集中キャンペーンを行ったほか、がん対策に患者や家族の声を反映させようと県がん患者団体連絡協議会による初の「あきたがんフォーラム」も秋田市で開かれた。こうした活動の輪を着実に広げながら、県民総参加に成り得る運動を模索すべきだろう。

 県がん対策推進計画では、受診率を50%にまで引き上げることを目標としている。県の新体制発足を機に、関係機関は死亡率全国ワーストからの脱却はもとより、がん対策の先進県に躍り出るくらいの気概を持って目標達成にまい進してほしい。

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