がん治療で共通診療録 患者情報1人1冊 経過把握容易に 熊本県と8拠点病院

がん治療で共通診療録 患者情報1人1冊 経過把握容易に 熊本県と8拠点病院

高齢化に伴って日本人の2人に1人ががんになる時代を迎えるなか、熊本県と県内全八つのがん診療連携拠点病院が4月から、「私のカルテ」と名付けた医療機関共通の診療録を導入する。拠点病院での専門的な治療から、地域のかかりつけ医が担う定期検査や服薬指導まで、1人の患者が経験する流れをノート1冊に分かりやすく示すことで、がんと闘う患者に安心感を持ってもらうのが狙い。県全体でこうした診療録に取り組むのは九州初となる。

 八つの拠点病院は、熊本大学病院▽熊本市民病院▽熊本赤十字病院▽熊本医療センター▽済生会熊本病院▽荒尾市民病院▽熊本労災病院▽人吉総合病院。

 導入するのは、国が拠点病院の条件として2012年4月までの実施を求めている「地域連携パス」。各病院の医師たちが集まり、1年以上かけて患者も医療者も使いやすい様式を検討した。胃、肺、大腸、肝臓、乳がんの5大がんについて作成し、昨年10月からは患者数人に試行的に使ってもらっている。

 パスには、患者情報の一元管理を通じて拠点病院と地域の医療者との連携を進める狙いもある。

 例えば、拠点病院でがんの摘出手術や化学療法を受けた後、地域に戻ってかかりつけ医で検査や薬の処方を受け、がんの再発や転移が分かって再び拠点病院へ‐となる場合、パスがあれば、どの医師も経過や治療内容をより把握しやすい。

 パスには、術後の検査の予定や結果を書き込むページや、がんの痛みを患者自身が記したり、訪問看護師や薬剤師などが使ったりできるページも用意。患者にとっても、自分が保管することで治療や検査の経過や計画を理解しやすくなる。

 済生会熊本病院の境健爾・腫瘍(しゅよう)内科部長は「がん治療は(専門医とかかりつけ医の)キャッチボールだからこそ、パスは意義がある」と連携の広がりに期待している。

■がん診療連携拠点病院

 全国どこでも質の高いがん医療を提供することを目指し、厚生労働大臣が都道府県ごとに指定する。2007年4月施行の「がん対策基本法」に基づく「がん対策推進基本計画」の中で整備を決めた。

 専門治療や緩和ケア、地域の医師への研修、患者支援を行うことなども指定の条件。九州には、福岡15▽佐賀4▽長崎6▽熊本8▽大分5▽宮崎5▽鹿児島7‐の拠点病院がある。

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