室蘭地方でも子宮頚がん予防ワクチン接種始まる

室蘭地方でも子宮頚がん予防ワクチン接種始まる

エーッ!がんに予防ワクチン?。日本で初めての子宮頚(けい)がんワクチン(グラクソ・スミスクライン社「サーバリックス」)が昨年秋、承認された。年明け後間もなく室蘭地方の医療機関でも早々と接種が開始され、接種実績を挙げる医療機関も表れている。効果などを紹介する。
子宮頚がんは、子宮の入り口にできるがん。発症の原因はヒト・パピローマウイルス(HPV)。感染しても実際にがんにならない場合もあり、発がん性HPVは約15種類。

 グラクソ・スミスクライン社はこのうち最も検出頻度が高く、子宮頚がんに多いHPV16型と18型の感染を防ぐワクチンを申請、承認された。日本では、全年齢の約60%で発見され、20~30歳代に顕著に多い。

 同社が公開したデータによると、初めての性交渉(初交)を持つ前の女児想定ではワクチンの有効性は約98%、性交経験がある女性想定で約98%と非常に高い効果を示している。ワクチン対象者は10歳以上の女性で3回(初回、初回から1カ月後、初回から6カ月後)に分けて上腕に接種する。

 同ワクチンは保険適用外のため、接種費用は全額自己負担。十分な効果を得るには半年間に3回の接種が必要で、計5万~6万円必要だ。

 室蘭市内の総合病院では、新日鉄室蘭総合病院が1月18日から産婦人科や小児科で予約受け付けを開始。院内ポスターやホームページ(HP)で周知を図っている。同月末までに既に2人が接種し、予約も複数に上っているという。

 日鋼記念病院は2月1日から接種を開始。同院広報紙「メディカル情報」(平成21年12月号)では、同院産婦人科科長の太田雄子医師による「ワクチンで予防できるがんがあることをご存じですか?」と特集記事を掲載。Q&A方式で子宮頚がんとワクチンについて解説している。

 市立室蘭総合病院は院内薬事委員会で論議されるが、「実施の方向」で検討しているという。

 一方、同ワクチンは既に感染しているHPVを排除したり、前がん病変やがん細胞を治す効果はないため、医療従事者は、接種はもちろん、定期的ながん検診による早期発見・治療を強く促している。
(竹浪恒一郎)

◆―― 負担軽減や啓発推進必要

【解説】
 海外で既に100カ国以上で使われながら、日本では昨秋初めて承認された子宮頚がんワクチン。その普及拡大には二つの大きな課題が横たわっている。

 一つは費用の問題。保険診療外のため、全額自己負担となっているからだ。新日鉄、日鋼両総合病院では1回1万6800円(×3回)となっている。

 医療関係者は接種者の増大のためには「国は保険診療にするか、公費負担を実施すべき」と強く主張している。既に公費負担を検討中の自治体も一部にはあるという。

 また、ワクチンはHPVの感染前の接種で発がん防止効果が生まれることから、初交以前の接種が望ましい―とされており、接種対象者を10歳以上の女性としている点がそこにある。

 「他のウイルス感染症(インフルエンザや水ぼうそうなど)と同様、子供にHPVワクチンを接種することが親の務めとされている国もあります」(日鋼記念メディカル情報12月号から)というほどだ。

 これに対応する小、中、高校など教育界の動きがまだ見えないのも課題。管轄を厚労省とするか、文科省が扱うのかといった縦割り行政の中では進展は見込めないだけに、普及に向けては学校現場での指導を求める声も上がっている。

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