輝く功績 第60回岐阜新聞大賞受賞者

輝く功績 第60回岐阜新聞大賞受賞者

学術部門 平野 和行氏(岐阜薬科大学教授)
がんの治療に新たな道
がんの進行とともに増加し、泌尿器科領域のがんの診断や経過観察に使われる「腫瘍(しゅよう)マーカー」について検討。一貫して歩んだこの分野における功績は大きく、がんの診断や治療に新たな道筋を開いた。

 特に顕著なのは、睾丸(こうがん)腫瘍や前立腺がんに関する研究。胎盤、小腸、骨・肝臓に存在する酵素「アルカリフォスファターゼ(ALP)」に着目し、3種の酵素に対するモノクローナル抗体を作製し、分析を進めた。その結果、胎盤性のALP抗体が、睾丸腫瘍で出現することを見いだし、治療や効果、再発の診断の手段になることを明らかにしている。

 前立腺がんについては、がんの増殖や転移の機序について検討し、転移に関与する酵素を明らかにし、骨粗しょう症に使われる薬が、がんの骨への転移を抑える効果があることを見いだした。「前立腺がんの患者数は増えており、骨転移も非常に多い。いずれは、臨床でこの薬が使われるようにしたい」と意欲を語り、承認薬のより有効な使い方や付加価値を探る「育薬」研究を積極的に展開する。

 研究以外では、岐阜薬科大学付属薬局の初代薬局長就任を機に、患者の薬の飲み忘れを防ぐ携帯電話のメールソフトを開発。近年、普及が進む後発医薬品(ジェネリック)については、その品質(生物学的同等性)の基礎資料のデータベースを作るなど、社会貢献にも力を注いできた。

 医学部の研究者と共同研究体制を構築しながら、がん患者の血液など貴重な生体試料を集め、研究に粘り強く取り組んだ。「目標を持ち、どん欲に学ぶこと。失敗した時に、なぜ駄目だったかを考え、壁を乗り越える力をつけてほしい」と後進にエールを送る。

 ひらの・かずゆき 1947(昭和22)年6月生まれ、62歳。愛知県碧南市出身。72年岐阜薬科大学大学院薬学研究科修了。東京薬科大学助手、岐阜薬科大学助教授、スウェーデン・ウメオ大学医学部への留学を経て、91年から岐阜薬科大学教授(薬剤学)。98年から岐阜薬科大学付属薬局長(4年6カ月)。自宅は岐阜市華陽。

トラックバック&コメント

この記事のトラックバックURL:

まだトラックバック、コメントがありません。


「おっぱいレンジャー」で乳がん無くせ! »
« がん拠点病院の空白地域拡大