炭素線がん治療

炭素線がん治療

光速の60―80%に加速した炭素イオンを病巣にピンポイントで照射し、がん細胞を死滅させる治療法。がんを切らずに治療できる上、健康な組織への影響が少なく、人体への負担も小さい最先端の治療法として注目される。国内の炭素線がん治療施設は現在、千葉市と兵庫県たつの市に2施設あり、今年3月には群馬大(群馬県前橋市)で治療が始まる予定。佐賀県が誘致する「九州国際重粒子線がん治療センター」は国内4施設目の開業を目指して計画が進む。

事業資金8割確保めど 産学官連携で誘致進める「炭素線がん治療施設」 建設着手へ本格始動 「旗振り役」の佐賀県に重責
(2010年2月6日掲載)

 県が産学官連携で鳥栖市に誘致を進める最先端の炭素線がん治療施設「九州国際重粒子線がん治療センター」の運営法人が5日、設立登記申請され、2010年度中の施設建設着手に向けて巨大プロジェクトが本格始動した。事業資金は8割弱が確保できる見通しとなったが、いよいよ建設が始まることで、計画は大幅な軌道修正が難しい段階に入ったといえる。事業の「旗振り役」として県はさらなる重責を背負った。
 (庭木香充)
 
 「プロジェクトを構想から建設へ、いよいよ進めていきたい」
 
 福岡市博多区のホテルで1月29日に開かれた事業推進委員会の冒頭、古川康知事は居並ぶ産学官の代表者たちに熱く語りかけた。
 
 委員会では運営法人設立を決め、初期投資に必要な事業費約150億円のうち、現段階で8割弱の約117億円が確保できる見通しとなったことが報告された。確保額の内訳は、県が負担する約20億円に加え、企業・団体から内諾を得た出資約25億円(目標約41億5千万円)と寄付約72億円(同約88億5千万円)。
 
 委員会は施設建設へゴーサインを出した。
 
   ◆   ◆
 
 外科手術をせず、体外照射でがん細胞を死滅させる炭素線治療は患者の体力を奪わず、通院も可能な「優れたがん治療」(県粒子線治療普及グループ)と注目される。
 
 九州国際重粒子線がん治療センターは、九州電力(福岡市)と九電工(同)、久光製薬(鳥栖市)の3社で昨年4月に設立した特別目的会社「九州重粒子線施設管理株式会社」が建屋の建設・管理を担当。
 
 今回設立申請した運営法人「佐賀国際重粒子線がん治療財団」(理事長・十時忠秀県医療統括監)が医療と施設運営を担うことになり、炭素線がん治療施設として全国初の民営施設が13年春に開業することになる。
 
   ◆   ◆
 
 国内だけでなく、中国や韓国など海外の患者受け入れも視野に、国際治療施設を目指す−。
 
 プロジェクトにかかわる産学官関係者の意欲は、事業計画に掲げた理念からもうかがえる。財団顧問には、古川知事に加え、松尾新吾・九電会長ら九州経済界を代表する顔触れがそろい、重厚な布陣となった。
 
 ただ、現段階で計画が順調に進む一方、課題も見えてきた。
 
 すでに確保見通しが立った事業資金は九電、九電工、久光製薬3社の協力が大きい。今後、まだ調達のめどが立っていない約33億円をどう確保するか。古川知事は「残りを集めるのが大変だが、さらに経済界に働きかけていく」と強調する。
 
 事業資金の満額確保は、プロジェクトを成功に導くための最重要課題。県には「旗振り役」として、今まで以上に情報開示などで責任ある取り組みが求められる。

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