がん患者に光? 健康食品で臨床準備進む

がん患者に光? 健康食品で臨床準備進む

健康食品の利用症例募集

 厚生労働省研究班によるがん研究助成金「がんの代替医療の科学的検証に関する研究」がいよいよ本格化の兆しにあるという。「健康食品の臨床試験実施に向け、過去の利用症例の募集が本格的にスタートした」(健康産業新聞1330号)。
これまで厚労省研究班では、健康食品などをはじめとした民間療法に関してその安全性と有効性を検証する研究に取り組んできた。同研究には、独立行政法人国立病院機構・四国がんセンターや東京女子医科大学国際統合医科学インスティテュート・大野智准教授らがかかわっている。
 現在、情報技術の発達により、がん患者やその家族は、がんの代替医療に関する情報を、大量に入手している。ところが、情報の信憑性や正確性については不確かなのが現状だ。「抗がん剤の副作用がサプリメントの使用によって大幅に軽減される」といった患者などからの報告は数多いが、あくまで体験談的な話に終始し、第三者機関が科学的に裏付けを行なったケースはこれまでにない。
そこで、それらの情報について第三者的立場で厳密に審査する取り組みとして、診療録などの診療情報を収集・集計し、観察研究(臨床の場における疫学研究)を行なうことにした。この取り組みは昨年来、テレビや新聞などでも報じられている。
 今年1月8日には、四国がんセンターのホームページ上に「調査研究のご案内」として、研究における一連の流れが説明されている。

利用症例をデータベース化

 がんの治療中やその予後に、がん患者が種々の代替医療(健康食品)を使用している実態は明らかになっている。しかし、これらの治療法の有効性や安全性に関する正確な医学情報は乏しく、患者は代替療法の信頼性に不安を抱えながら利用していることが問題視されてきた。
 体験談に関しては、報告者の「記憶のあいまいさ」、一人のひとに効果的であっても何人に効果がなかったかなどの「有効性の確率」が指摘されてきた。さらに「体験談のでっちあげ」の可能性なども危惧されている。そこで、代替医療が最終的に有効だったかどうかを証明するための手段として、臨床試験の実施が不可欠となる。
 その重要な基礎資料として、代替医療が有効だったと推測されるがん患者の医療情報を
一次・二次審査を経て厳密に審査し、「症例報告」と同程度の重みを持つ情報としてデータベース化する。臨床試験の可能性をさぐるというのである。

2人に1人が代替医療を利用

 研究の中心的役割を担っている大野准教授自身、島根医科大学で研修医として働いていた当時、進行がんの患者から健康食品に関する相談を受けて戸惑った経験があると、(株)シクロケムでの対談で振り返っている(サイエンストーク科学の現場「補完代替医療の現況と今後」)。
 一部を引用すると、「たとえばアガリクスやメシマコブについて、『薬と一緒に摂取しても大丈夫?』『ホントに効くの?』といった質問をされても、答えることができませんでした。というのも、医学部で勉強した6年間、食品関係の講義は一切なく、栄養学さえ学んできていないのです。ですから、胃を切除した術後の具体的な食事メニューはどのように注意したらいいのかといった指導も、管理栄養士にまかせていたのが実情です。(略)2005年に発表されたデータ(於厚生労働省「我が国におけるがんの代替医療に関する研究」班による実態調査)によると、44.6%のがん患者さんが何かしらの補完代替医療を使っていることが明らかになっています。およそ2人に1人が利用しているわけです。具体的に何を利用しているかという質問については、「健康食品」と回答した人が圧倒的に多くみられました。なお、がんに携わっている医師に対するアンケートでも、健康食品に対して否定的な医師は確かに多いのですが、彼らが否定するだけの知識をもっているかというとおおむね、そうとはいえないのが実情です」。
 同プロジェクトでは、全国の医師に医療情報の提供をひろく呼びかけている。

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