「キュアからケアへ」、がん患者の相談支援のあり方でシンポ=東京

「キュアからケアへ」、がん患者の相談支援のあり方でシンポ=東京

】身近にがん患者がいるとしたらにどのように接すればいいのでしょうか。なんとなくお茶を濁してあたり障りのない話をしてしまいそうです。がん患者は真剣に悩んでいるにもかかわらず私たちになすすべはないのでしょうか。この難しいテーマを真正面から見据えようとシンポジウムが行われました。

メディカルタウン再生力シンポジウム(30年後の医療を考える会・白十字在宅ボランティア会主催)が2月21日(日)、聖路加看護大学(東京都中央区)アリス・S・ジョンメモリアルホールで催され、「がん患者の相談支援のあり方」をテーマに講演とシンポジウムが行われました。在宅看護に携わる関係者はもちろん、関心のある約300名が聴き入りました。

まずは、シンポジウムの目的をPJに届いたメールからご紹介します。

■これまで30年後の医療の姿を考える会のシンポジウムに足を運んで下さった皆様へ

今年も、30年後の医療の姿を考える会のシンポジウムの季節がやって参りました。今回は、イギリスから講師をお招きして開催致します。基調講演のタイトルであるマギーズ・キャンサー・ケアリング・センターについて以下をご参照ください。

【マギーズ・キャンサー・ケアリング・センターとは?】

造園家で中国庭園の研究家でもあった故マギー・ケズウィック・ジェンクス(1988年乳がんの宣告を受け、1995年多臓器がんで死去)の遺志を受け、がん患者・家族、また友人に至るまで様々ながんの悩みに応える無料相談支援施設として、1996年にイギリスのエジンバラに1箇所目が開設されました。(イギリスのNHS=公立病院の「がんセンター」の「敷地内」に、「別棟」(院外)として設置、全額チャリティ&他の運営主体により運営)

その後、英国中で需要が高まり、2002年にグラスゴーで第2号、2009年までに全英で7箇所が開設され、利用者は患者・家族・友人を含めて77,000人に上ります。2012年までに更に5箇所が開設予定など、その機能は世界的にも注目されています。

イギリスは、シシリー・ソンダース博士が、1967年、ロンドン郊外に聖クリストファー・ホスピスを創設するなど、【医療の在り方をキュアからケアへと変えていく】ホスピス運動発祥の地です。では、当日会場でお会いできることを楽しみに。

30年後の医療の姿を考える会 会長 秋山正子(抜粋)

がんの患者のターミナルケア(終末期医療)についてご存じの方も多くいると思います。しかしながら「医療の在り方をキュアからケアへ変えていく」という考え方は必ずしも日本では浸透していません。これはとりもなおさず「治療から日常生活のQOLを向上させる看護・介護へ」のシフトを意味します。このため、がんの悩みに無料で応じる相談支援施設がイギリスで根付きつつあるということは私達にとっても非常に大きな関心事です。

講演では「マギーズ・キャンサー・ケアリング・センターの実際」と題して、CEOのローラ・リー氏の話がありました。

冒頭、創始者のマギー・ケズウイック・ジェンクスの「above all what matters is not to lose the joy of living in the fear of dying(一番大事なことは死の恐怖の中でも生きる喜びを失わないことである)」の遺志を継いで、現在の無料相談支援活動を展開しているとの話から始まりました。がん患者が自己統制力の喪失や絶望感と無力に襲われた際には、1)情報面でのサポート、2)心理・社会・感情面でのサポート、3)ライフスタイル調整の最適化、4)がんの診断に対応する上で積極的な役割を果たす機会の提供の4プログラムを用意し、がん患者が「積極的に生きる」ことをお手伝いするのがマギーセンターであると述べておられました。

マギーセンターはミュージアムであり、教会でもあり、病院そして家庭の様な場所ととらえ、利用者が快適な時間を過ごすため、さまざまな工夫がなされています。太極拳や習い事なども行っています。がん患者の誰もが気兼ねなく利用できる施設をとの思いから、利便性を考えセンターはすべて医療施設に隣接して作られています。

裏付けるように来訪者の65%はがん患者で、35%がその介助者や友人・家族、また65%が女性、35%が男性だそうです。

こうした施設が誕生した背景には、3人のうち1人が生涯のうちがんにかかる、200万人の英国人ががんを持って生きている、毎年29万3000人ががんと診断されている、英国の全死亡の27%はがんである等、日本でも同様あるいはそれ以上の状況にあります。決して他人事とは思えない切実な問題です。

財源は大きな課題で、その多くは善良な支援者の寄付とイベントなどの事業収入で賄っているそうです。日本でも一部の篤志家だけに頼らず、善意の寄付がたくさん集まれば設置は可能です。今後、ネットワークを香港、バルセロナ、オーストラリア、日本にも拡大する計画です。このうねりが世界に拡大することを期待したものです。

パネルディスカッションでは、パネラーの実体験を踏まえた考えを基に討議が行われました。一日も早い日本への導入を期待することで意見の一致を見ました。

柳田邦男氏のメッセージ(代読)「日本版マギーセンターの誕生に期待する」のコメントに等しくうなずく姿がありました。【了】

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