がんの市民講座から:/下 先端医療、特徴理解して

がんの市民講座から:/下 先端医療、特徴理解して

厚生労働省研究班のがん専門医たちが先月末に東京大で開いた市民公開講座の講演「がんになった時に受ける標準治療と先端医療」。今回は肺がん、前立腺がん、子宮頸(けい)がんがテーマだ。【高木昭午】

 ◆肺

 ◇放射線、患部に集中
 杏林大病院呼吸器外科の呉屋朝幸(ごやともゆき)教授は、がんの進行度が最も初期の0期から、やや進んだ3A期までは、まず手術が標準治療で、手術後に抗がん剤を使う場合もあると説明した。他の病気などで手術できなければ、放射線が標準治療となるという。

 さらに進んだ3B期や4期は、抗がん剤と放射線、または両方の組み合わせで治療する。4期では、患者が日常生活を送れていれば体に負担のかかる治療をせずそのまま過ごすのも選択肢という。

 皮膚を小さく切り、体内に器具やカメラを入れて手術する「胸腔(きょうくう)鏡手術」も紹介した。術後の痛みが少ないことなどから広がっているが、標準治療になるには至っていないという。

 山梨大病院放射線科の大西洋(おおにしひろし)准教授は「放射線は根治を目指す治療のほか、骨や脳に転移したがんを縮小させ痛みを取ることなどにも使う」と説明した。一方で、放射線による肺炎などの副作用が出る場合もあるという。

 先端医療としては、放射線をがんに集中させ副作用を減らすため、呼吸に合わせて放射線を断続的に照射する方法などを紹介。「放射線治療の機器は日進月歩だが、最新機器は(実績不足で)すぐには標準治療になれない」と指摘した。そして「どの治療法がよいか、患者が自分の価値観で判断してほしい」と訴えた。

 ◆前立腺

 ◇出血少ない手術も
 三木恒治・京都府立医大教授(泌尿器外科学)は前立腺がんの進行度についてA~Dの4段階と説明。AかBの段階では手術と放射線治療の15年生存率は同等でどちらも標準治療であり、好きな方を選べばよいと話した。手術は1週間~10日で退院できるが、出血や感染症にかかる恐れがある。放射線は合併症は少ないが治療に約7週間かかり、数年後に腸からの出血や尿が出にくくなるなどの障害が出ることもあるという。

 Cでは放射線治療が中心で、ホルモン治療を併用すると再発が減ると推測されている。Dは骨などに遠隔転移がある段階で、手術や放射線の効果は薄く、ホルモン治療が主体になる。ただ5年くらいで効かなくなることが多いという。

 先端医療としては、がんを切る際にロボットを使う手術などを紹介した。通常の手術器具より出血が少なく、入院期間が短いという。

 中村和正(かつまさ)・九州大病院別府先進医療センター放射線科准教授は「放射線治療には体外から放射線をあてる外部照射のほか、体内に放射線源を入れる小線源治療もある」と紹介した。小線源は治療期間が1週間程度と短いが、麻酔が必要で、病状によっては適さない。外部照射はほぼ常に適用できるが治療に約2カ月かかる。両方を併用する場合もあるという。

 ◆子宮頸

 ◇選べる標準治療
 笠松高弘・国立がんセンター中央病院婦人科医長は「子宮頸がんの場合、進行度が最も初期の0期から、少し進んだ2B期までは、手術と放射線治療のどちらも標準治療と言える」と紹介した。副作用として、手術は足のむくみやぼうこうの神経まひなど、放射線はぼうこう炎や直腸炎などがあると説明。がん以外の病気や患者のライフスタイルなどに合わせて選べばよいと話した。3期と4A期は放射線が標準治療だとした。なお1B期以降は、放射線の補助として抗がん剤を使うことが多いという。

 信州大病院放射線科の篠田充功(あつのり)医師は、子宮頸がんの放射線治療では、体外から行う「外部照射」と、子宮と膣(ちつ)に放射線源を入れる「腔内照射」の両方が必須だと説明した。だが実際は外部照射だけで治療する病院もあると指摘し、「患者は『腔内照射はどこで受けるのか』と病院に聞いてほしい」と訴えた。

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