【アメリカのがん登録】(4)情報蓄積への許容度

【アメリカのがん登録】(4)情報蓄積への許容度

 院内がん登録で患者さんの情報を確実に蓄積するには、許諾なしで診療情報を利用することを患者さんに容認していただく必要があります。仮に患者さんに確認しても、「情報を使われたくない」人の情報を外したら、データが偏るため外せないのです。海外ではこうした情報は、多くは法律に基づいて利用されます。アメリカやカナダ、オーストラリアでは、患者さんに情報を取るための説明や同意は不要です。

 英国で行われた「病院が勝手に情報を取ることをどう思うか」という調査では、がん登録について8割が「知らない」。目的や意義を説明し、「情報提供を許容するか」と問うと、8割が「許容する」です。「プライバシーの侵害と思うか」という問いにも、「あまり思わない」が8割と寛容です。日本で調査をすると、「知らない」が9割。ここまでは大差ありませんが、「プライバシーの侵害と思うか」では、「思う」と「思わない」が拮抗(きっこう)する。英国に比べ、敷居が高いです。確かに現在の患者さんからデータを得ても、それが即、患者さんの利益にはならない。5年後くらいには役立つかもしれませんが。

 ですが、がん登録なしに、がん研究の進歩や治療改善は望めません。国が方針決定し、国民に説明し、法整備することが必要です。がん登録で日本は欧米先進国には水をあけられ、アジアでも台湾や韓国、シンガポールにはとっくに抜かれ、ベトナムやタイと並び、中国に追い上げられているのです。(談 祖父江友孝・国立がんセンターがん情報・統計部長)=おわり

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