がん対策タウンミーティングに行ってきました(下)

がん対策タウンミーティングに行ってきました(下)

患者団体の連携だけではありません。より感激したのは、青森県立中央病院の吉田茂昭院長が「これを機に、青森県版がん対策タウンミーティングを開催していこう」と提案したことです。医療はもともと地域のもの。このタウンミーティングが、地域でがん対策をどう進めていくか、行政と医療関係者、患者・市民らが意見交換しあう場を設けるきっかけとなれば、大変意味のあることとうれしく思います。

 こうした雰囲気は、長崎県でも生まれました。

長崎県のタウンミーティングでは、県福祉保健部医療政策課の長田智貴係長が、がん死亡率が全国ワースト6位であることや離島が全国一多いことによる対策の難しさなどの現状を報告。患者や市民からは「もっと患者と医療従事者、行政の担当者が一緒に議論できる仕組みを県でつくってほしい」「独居高齢者の増加などで在宅介護だけでは対応できない。緩和ケア病棟の整備も考えてほしい」などと注文がありました。これに対し、長田係長と市民らのやりとりが展開されるなど、国のWGグループメンバーが見守る中、すっかり長崎県版タウンミーティングとなっている場面が多々ありました。

 そのほか、「在宅ケアの場にがん終末期の患者さんが増えている一方で、訪問看護の担い手が不足している」「在宅医療と病院との連携は進んできたが、介護施設との連携が不十分だ」など、在宅療養の問題を訴える声が目立ちました。青森県でも「在宅緩和ケアを進めるには、がん患者が使いやすい介護保険の仕組みにすべきだ」などの指摘もあり、がん患者が自宅や施設といった“在宅の場”で過ごすには、今の介護保険ではがん患者の実態に合っておらず使いにくいという問題の重要性を再認識させられました。

 一方、がん診療連携拠点病院については「拠点病院に患者が集中し、十分な対応ができなくなってきている」などの声も。青森県でも「拠点病院は自己完結型を目指すのではなく、拠点病院と連携できる地域の病院や高機能診療所を育てる役割を担うべきだ」と、拠点病院制度の見直しを求める声が多く出ました。

 これは、患者にとっても大きな問題です。「拠点病院だから」と安心して行ったら、患者が集中して医療者は疲弊し、十分な治療も受けられないといったことになっては困ります。拠点病院以外でもがん診療をしている病院はたくさんあります。そういった病院・診療所と拠点病院がどう連携し、診療のレベルを保つのか。国の拠点病院制度を見直す必要があるとともに、地域でも患者・県民と医療者、行政担当者が一緒に考えていくべき問題だと痛感しました。

 他にも検診や医療費負担の問題など様々な意見が出ましたが、タウンミーティングは(1)地域の声を国の施策に生かす(2)地域連携のきっかけをつくる――という点で意義深いものになったと思います。

 ただ、問題はその次です。各地のタウンミーティングやアンケート調査でいただいた意見をもとに提案書を考えるWG会議が17日、都内で開催されたのですが、この会議を傍聴した知人の新聞記者や患者団体関係者に厳しい指摘を受けました。「様々な意見をもとに(1)今すべきことと中長期的に考えることに整理し、メリハリをつける(2)国民に分かりやすく伝える工夫をする――という作業は課題だらけではないか」というのです。

 確かに、その通りだと私も思います。昨年の提案書も何が柱か分かりにくく、あまりニュースになりませんでした。今年も時間がない中で十分な議論ができていないことや、タウンミーティングの開催告知も遅く参加できなかったとお叱りの声が出ていることから、上記のような指摘となったのだと思います。これはWGメンバーではあるものの作業にあまり貢献できていない私自身、大いに反省しなければなりません。この反省を生かし、来年こそは早めに始動するよう提案するとともに、今年の提案書が3月末にまとまったら、この場でも分かりやすくご報告したいと思っています。

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