患者塾:医療の疑問にやさしく答える 女性のがん/上 子宮頸がん /福岡

患者塾:医療の疑問にやさしく答える 女性のがん/上 子宮頸がん /福岡

第127回患者塾は2月20日、「女性のがん」をテーマに開かれた。昨年国内での販売が承認された子宮頸(けい)がん予防ワクチンを巡り、医師が子宮頸がんの現状やワクチンがなぜ必要なのかを分かりやすく解説した。

 ◇20~30代の女性に急増、ワクチン接種で予防を
 福岡市の38歳女性 子宮頸がんを予防するワクチンができたと聞きました。母が子宮頸がんで亡くなったので、予防できるのであれば是非接種したいし、中学生になる娘にも接種させたいと思っています。どのようなワクチンですか。

 安藤さん 子宮頸がんは子宮の入り口付近にできるがんで、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染が原因です。このウイルスは100種類ほどあり、そのうち発がん性は15種類ほど。ワクチンは、このすべてをカバーしているわけではなく、子宮頸がんになりやすい二つの型(全体の約60%)をターゲットにしています。

 津田さん 子宮頸がんは国内では年間約1万5000人が発症し、約3500人が亡くなっています。昔は50~60代での発症が多かったのですが、今では20~30代の発症が急増しており、女性にとっては怖いがんです。子宮頸がんワクチンは任意の予防接種なので、値段は3回で約5万円と高いのが実情です。適応年齢は10歳からとなっています。

 安藤さん 若い人の発症率が高いため、性行動が特殊な若い人に発症するという誤解もありますが、そうではありません。性交渉を始めたら誰もがかかる可能性があります。多くの男性と付き合っていなくても、普通に暮らしている女性が感染する可能性がある生活習慣病と考えたほうがいいです。ただ、たばこを吸っている人は吸わない人より子宮頸がんになりやすい傾向があります。

 下川さん 理解してほしいのは、HPVに感染することと、がんになることは同一ではないということです。感染しても80%以上は自然と消えてしまいます。ウイルスに感染したからといって、必ず子宮頸がんに進行していくというわけではありません。10%前後の人が細胞に異常が生じ、前がんという状態になります。細胞が異常な形態になった場合、軽度では1%、中度が10%、高度の20~30%ががんになると言われています。

 小野村さん やはりワクチンは積極的に接種したほうがいいですね。

 安藤さん あなたも私も皆がかかる可能性があるので、ワクチンは若い時、出来たら性交渉を始める前の10代で接種したほうがいい。また、適応年齢は45歳ぐらいまでとされるので、晩婚化傾向から性交渉を持たないまま30~40代で結婚する女性も接種の対象になると思います。子宮頸がんは女性の妊娠や出産の可能性を脅かし、命を奪うがんです。予防できるワクチンはこれ以外はありませんし、これからお母さんになってくれる女性の体を守ってくれます。

 ◇記者の一言
 塾のテーマが「女性のがん」とメールで届いた時、思わず画面に「アイタタッ」と口走った。妻を乳がんで亡くした身にはこたえるなと思ったからだ。がんが最初に見つかった時は水俣病の第1次政治解決、再発のころは母による息子の保険金殺人。記者人生の中でも大きな事件で、確かに忙しくはあったが、妻の健康を気遣えなかった理由にはならない。塾出席は自分への戒め。今は身近に気遣う相手もいないが、塾で得た知識は同僚に伝えればいい、と思い直した。こここまで考えて「アレッ? これもある意味“仕事優先”……」。【御手洗恭二】

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 ◇出席された方々 
下川浩さん=エンゼル病院(北九州市、産科・婦人科)

安藤由起子さん=安藤ゆきこレディースクリニック(北九州市、産科・婦人科)

夏目高明さん=夏目心療クリニック(福岡市、心療内科・精神科)

伊藤重彦さん=北九州市立八幡病院副院長(外科)

平田敬治さん=福岡山王病院外科部長(福岡市)

津田文史朗さん=つだ小児科アレルギー科医院院長(水巻町)

仲野祐輔さん=八屋第一診療所院長(豊前市、外科)

 ◇司会
小野村健太郎さん=おのむら医院院長(芦屋町、内科・小児科)

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 ◇質問は事務局へ
〒807-0111

 福岡県芦屋町白浜町2の10「おのむら医院」内

電話093・222・1234

FAX093・222・1235

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