がんの先進的治療法 重粒子線照射、群大で

がんの先進的治療法 重粒子線照射、群大で

がんの治療法の一つで、副作用が少ないと期待される重粒子線治療が今月、群馬大で始まる。重粒子線を照射できる施設は国内では3カ所目で、大学病院に併設されている施設としては初めて。

 施設(建築面積約3140平方メートル)は前橋市昭和町の同大昭和キャンパスに設けられた。イオン源装置で作られた炭素イオンが加速器を通り、患者の患部を照射する。光速の約70%まで加速することで、炭素イオンを体内に入れることができるという。

 中野隆史・重粒子線医学研究センター長は「従来の放射線治療よりも患部に集中的に照射され、他の臓器に及ぼす副作用は少ない」と治療の特徴を語る。

 1回の照射は準備時間を含めて30分程度で、週に4日照射をする予定だ。がんの進行度にもよるが、前立腺がんでは4週間、肺がんや肝がんでは1週間程度で治療が終わり、その後1カ月から数カ月で腫瘍(しゅ・よう)が小さくなることが期待できるという。

 中野センター長によると、3月から約10人が試験的に治療を受ける予定で、今年の夏までには先進医療の承認を受け、正式に治療を始めたいという。将来的には年間約800人の受け入れが目標だ。

 群馬大では他の診療科と連携して、抗がん剤治療などを組み合わせた集学的治療を受けられるという。

 ただ重粒子線治療には公的医療保険が適用されず、患者には高額の負担がかかる。治療費は未定だが、1人300万円を超えそうな見込みという。中野センター長は「早く実績を出して保険の適用を目指したい」としている。

    ◇

 重粒子線照射施設を生かして前橋市に観光客を呼び込もうと、前橋商工会議所は「高度医療拠点を契機にした健康ツアー整備事業化プロジェクト」を2009年度に進めてきた。医療と観光をつなぎ合わせた「ウェルネスツーリズム」という考え方を採り入れ、内閣府の「地方の元気再生事業」に認定されている。

 これまでに同施設の見学ツアーを5、6回開き、がん患者や家族、県外の医療関係者らも参加した。

 重粒子線治療を受けながら、県内の温泉地や地元産の素材を使った料理などを楽しめるツアーの企画も考えているという。

トラックバック&コメント

この記事のトラックバックURL:

まだトラックバック、コメントがありません。


子宮頸がん予防接種を全額補助へ »
« 陽子線がん治療施設:曲折経て起工式 名古屋市、工事遅れで費用増も /愛知