第24回日本がん看護学会学術集会・市民公開講座

第24回日本がん看護学会学術集会・市民公開講座

患者の話をよく聞く
 今度は家族ががんと言われたときについて考えてみたいと思います。家族として、色々としたいけれど、何をすればいいかわからないということもあると思います。

 まず最初にできることは患者さんの話をよく聞くことだと思います。実はこれが非常に難しいことだとも思っています。患者さんによっては、混乱状態であったり、不安であったりすることもあります。日によってどんどん言うことが変わったり、同じことを繰り返し繰り返し訴えたりする方もいるかもしれません。そうするとつい、家族はいらいらしてしまって、聞くのをやめてしまったり、遮ってしまったり、怒ってしまったりするかもしれません。

 しかし、人は話をしていくことで心の整理をしているということが多くあります。話を聞くとき、答えがすぐに出ないような難しい話題であっても、避けずに向き合っていくことが重要だと思います。患者さんが、将来不安だとかこれからのことについて話したりすると、家族はどうしてもつらくなってきて、今はその話はやめましょうと遮ってしまったりとか、考えても仕方ないから言わないでと断ってしまうことがあるかもしれません。しかし、そういった答えが出ないことを一緒に共有することで、つらい気持ちを家族とわかちあっている場合もあるのです。

 聞く方もつらいことがあるかもしれませんが、難しい話題が出てきたら、むしろ患者さんが家族に助けを求めている時だと思いますので、ぐっとこらえて、話をじっと聞いてあげることができるといいと思います。

安易な説得はしない
患者さんの希望を尊重することが大事であり、安易な説得や、価値観の押し付けをしないようにしてください。

 患者さんが迷っていたり、患者さんの選択が家族から見ると誤っているのではないかと思えたりすることがあります。例えば、がんの治療が進んできたときに、これ以上抗がん剤は続けたくないという患者さんがいたとします。すると、家族によっては、まだまだ頑張れるはずだから頑張ろうよといって、患者さんが望むことと反対のことを言ってしまうこともあるかもしれません。それが正しいことなのかどうか、難しいことではありますが、なぜ治療をやめたいと思っているのか、率直に話しあうことにより患者さんが大切にしたいことを共有できれば、よりよい家族の関係ができて、今後のことについて本音で話しあっていくことができるかもしれません。

家族こそ正確な情報を
 家族こそ、正確な情報を持って、必要なときに情報提供できるような立場にたってもらいたいと思います。家族というものは、どうしても患者さんのために色々したいと思うものですが、場合によって間違ったことをしてしまい、それが患者さんにとってはマイナスの効果になってしまうことがあるからです。

 そしてこれが一番重要だと思うのですが、家族自身が自分の生活を大切にすることです。これは、なかなかできないことかもしれませんがとても大切なことです。患者さんの家族というのは、第2の患者といわれるように心の負担を強くもっています。がんの告知を聞いたときは、患者さんと同じように落ち込みますし、患者さんと同じようにストレスにさらされている状況にあります。

 自分自身の時間を作るというのは非常に難しいと思いますが、自分自身の生活を大事にできなければ、患者さんを大事にすることもできません。家族の中で役割分担をしながら、自分の生活も大事にしてほしいと思っております。

 本日は、いくつかのお話をしましたが、まだまだわからないことはたくさんあると思います。全国の拠点病院に相談支援センターというものがあります。この相談支援センターは、顔と顔をあわせて相談することもできるし、電話で相談することもできるというものであります。相談支援センターの情報は国立がんセンターのホームページに掲載してありますので、ぜひ利用していただきたいと思います。

心の予防接種

 佐藤: 先生のお話をうかがいながら、本日ご出席の皆様は心の予防接種を受けたなというふうに思いました。絶対インフルエンザにかからないという保証はないけれどもなった時に軽く済むよ、というのが予防接種ですよね。心の予防接種、がんになった時のことを、多少心配はしておくと、実際にかかった時に軽く済むよということなんです。

 自分ががんになった時、あるいは身近な誰かががんになった時には、正しい情報を入手することが重要で、一番力になるんですよね。知識は力なりと申します。正しい情報、正しい知識を得ることが自分の力になる。そのためには今どんなことが情報として集められているか、どうやったら情報を入手できるかということを知っておくことも大切、ということでした。

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