患者塾:医療の疑問にやさしく答える 女性のがん/中 子宮頸がん /福岡

患者塾:医療の疑問にやさしく答える 女性のがん/中 子宮頸がん /福岡

2月20日に開かれた第127回患者塾のテーマは「女性のがん」。子宮頸(けい)がんを予防するワクチンの役割と、接種と合わせた定期的な検診の重要性について医師が詳しく説明した。

 ◇10代前半でワクチンを
 下川さん 妊娠中の検査で子宮頸がんが見つかることもあり、そうなると子宮を取らなくてはいけなかったり、子供をあきらめなくてはいけなかったり、耐え難い悲惨なことを強いられます。

 小野村さん ワクチンの適応は10歳からとなっていますが、いつごろ接種するのがいいでしょうか。

 下川さん 性交渉を経験した女性の割合が増えるのは高校生からです。性交渉が始まると、感染の原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)が子宮にくっつくことがあります。HPVに感染する前に予防することで効果が20年ぐらいはあると言われているので、10代前半で接種すれば30代半ばまでは効果が維持でき、最悪の事態を予防できます。

 大分市の40代女性 親が納得すればそれでいいというのではなく、ワクチンを接種する前に子供自身も性交渉や感染について十分に理解をする必要があると思いますが、医師の先生たちはどう考えていますか。

 伊藤さん ワクチンを打つことと性交渉や感染について子供に理解させることは分けて考えるべきだと思います。まずは親の「あなたのためだから打ちなさい」という一言でいいと思います。その後に「ワクチンを打ったのはこういうことだよ」と、少しずつ教えていけばいい。子供に性交渉や感染を理解させる前に、まずはお父さんやお母さんにしっかりワクチンの必要性を理解してもらうことが重要です。

 ◇性感染症とは異なる、年1回の検診も必須
 安藤さん HPVと性感染症を混同してはいけません。子宮頸がんは性交渉を始めた人であれば誰もがなる可能性があります。性交渉などと言うと子供たちは「子宮頸がんっていやらしい人がなる」と思う可能性があります。そう誤解されると、せっかくのワクチンなのに、普及に歯止めがかかってしまいます。お父さんやお母さんが子供の将来を思って接種させるワクチンという位置づけでいいでしょう。自己負担が約5万円(接種3回分)と高額なので、中学入学のお祝いにおじいちゃん、おばあちゃんが1回分負担するなどの形もいいと思います。

 下川さん 若い女性が子宮頸がんになった時に失うものがいかに大きいかを理解してほしい。できれば中学時代に全員打ってほしいというのが多くの産婦人科医の願いです。ただワクチンだけでは完全ではありません。早期発見には検診が必要です。

 安藤さん ワクチンが効かない型のウイルスもあるので、必ず検診はセットです。20歳になったら1年に1回、子宮がん検診を受けるようにしてください。

 ◇記者の一言
 「お母さんになる女性の体を守ってくれます」。子宮頸がん予防ワクチンの重要性を知り、昨年記事にした一人の女性を思った。

 大石真由美さん。子宮頸がんではないが、悪性リンパ腫が第二子を妊娠中に見つかった。それでも出産を決意。闘病しながら無事出産したが、4カ月後に24歳で亡くなった。

 闘病記には、2人の娘の面倒を十分に見られなかった悔しさがつづられ、読むと切なくなる。真由美さんの二女と私の娘は同い年。おっぱい大好きの娘を見て強く思う。ワクチン接種で未来の「お母さん」を守りたいと。【佐藤敬一】

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 ◇出席された方々
下川浩さん=エンゼル病院(北九州市、産科・婦人科)

安藤由起子さん=安藤ゆきこレディースクリニック(北九州市、産科・婦人科)

夏目高明さん=夏目心療クリニック(福岡市、心療内科・精神科)

伊藤重彦さん=北九州市立八幡病院副院長(外科)

平田敬治さん=福岡山王病院外科部長(福岡市)

津田文史朗さん=つだ小児科アレルギー科医院院長(水巻町)

仲野祐輔さん=八屋第一診療所院長(豊前市、外科)

 ◇司会
小野村健太郎さん=おのむら医院院長(芦屋町、内科・小児科)

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 ◇質問は事務局へ
〒807-0111

 福岡県芦屋町白浜町2の10「おのむら医院」内

電話093・222・1234

FAX093・222・1235

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