大府のがん治療施設、また延期 民間業者、資金難で

大府のがん治療施設、また延期 民間業者、資金難で

 愛知県が同県大府市に誘致を目指す重粒子線がん治療施設で、建設を計画している民間業者が、資金難から予定していた2009年度の着工を断念したことが分かった。着工の延期は07年度に続き2回目。業者は事業継続に意欲を見せるが、県は民間だけの計画では開業のめどが立たないと判断、資金面などで国の協力を求める代替策の検討に入った。

 民間業者は、名古屋大名誉教授らが役員を務める「名古屋先進量子医療研究所(アイナック)」。計画では、190億円を投じて大府市の「あいち健康の森」西側に隣接する2万平方メートルの土地に施設を造る。当初は07年度に着工、10年度に開業予定だった。

 しかし、患者1人当たり治療費が約300万円と高額になることや、名古屋市が別に建設を進める陽子線施設と類似することから、出資を予定していた大手銀行や企業が慎重姿勢に。着工を09年度中に延期したものの、資金は目標額である190億円の半分にも満たないという。

 愛知県は先端医療の中核拠点になるとして、土地の確保や国との交渉を手伝ってきた。医師の研修制度や患者への無利子貸し付けなど、開業後の支援策も検討していた。

 今後は国が建設費を負担し、運営は民間に委託する「国設民営方式」を軸に国の関与を求めていく考え。民主党政権が最先端医療を産業として育てる方針を打ち出しており、人材や土地などの条件がそろう大府市で、国が事業化することを期待している。

 同県健康対策課の担当者は「資金調達の見通しが立たない現状では、別の方法を考えなければいけない」と話し、10年度中にも事業の是非を含めた結論を出す方針だ。

 一方、アイナックの小堀義行社長は本紙の取材に「(着工が)遅れても建設する考えに変わりはない」と話し、自前での事業継続に意欲を示している。
 【重粒子線治療】 がん細胞に直接放射線を照射し、手術せずに短時間で治す最先端の治療法。特に子宮がんや骨肉腫、肝臓がんなどでは、名古屋市が造る陽子線施設よりも治療効果が高いとされる。現在、国内で治療を受けられるのは千葉市の独立行政法人「放射線医学総合研究所」と兵庫県立粒子線医療センターだけ。群馬大学病院も近く稼働予定。

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