がん克服した87歳の声楽家、前川さん 三重・伊賀で復活コンサート

がん克服した87歳の声楽家、前川さん 三重・伊賀で復活コンサート

 舌がんで舌の大半を失った三重県伊賀市のアマチュア女性ソプラノ歌手、前川圓(えん)さん(86)が回復し、16日、コンサートを開き歌声を響かせる。舌の切除手術後に声は出せても歌えるまでになるのは珍しく、年齢を乗り越えて練習に励む前川さんに医療関係者は「信じられない回復力」と驚いている。

 前川さんは小中学校の音楽教員を務めた後、女声合唱団「コーラスまどか」を結成。声楽振興の功績で平成4年に県平成文化賞を受賞し、80歳を過ぎても声楽家としてリサイタルを開くなど活躍していた。

 しかし、平成20年11月に舌がんが発覚。舌の切除手術は避けられなかったことから入院直前の同年12月に「これが最後かもしれない。心残りがないように」と、伊賀市内など3会場でコンサートを開いた。

 名古屋市の愛知県がんセンターに昨年1月に入院。同月、舌の4分の3を切除し、腹部の筋肉を移植する8時間半の大手術を受けた。10日前後で「あっ、あーっ」と声が出て、次第に発声できるようになった。「高齢の大手術で、こんなに声が戻ったのは、病院始まって以来」と担当医らを驚かせた。

 昨年3月に退院。流動食しか食べられない体ながらも毎日5500歩の散歩で体力を回復。ラ行の発音を除いて徐々に大きく発声できるようになった。今年1月、音楽仲間から「もう一度歌わないか」と誘いを受けた。「努力したら必ず答えが出る」と腹筋運動も加え、張りのあるソプラノをよみがえらせた。
 ロビーコンサートは伊賀市の県伊賀庁舎ロビーで16日、午後0時15分から開かれる。ピアノ伴奏で春にちなんで「初恋」「早春賦」など約10曲を披露する。

 前川さんは「できるときに、できるだけのことをしたい。これからも中身の詰まった人生を送りたい」と話している。

 湯田厚司・三重大医学部准教授(耳鼻咽喉科)の話 「舌の4分の3を切除しても声は出せるが、発音が不明瞭(めいりょう)になる場合が多い。高齢で手術を受けたうえに歌えるというのはすごい回復力だ」

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