[大腸がん新事情](中)治療10分 日帰りも可能

[大腸がん新事情](中)治療10分 日帰りも可能

「早期の大腸がんであれば、ほとんどが内視鏡治療で治すことができる」

 手がけた大腸内視鏡検査は15万例。肛門(こうもん)から入れた内視鏡(長さ約1・3メートル)を大腸の端の盲腸まで到達させるのに3分。異常がなければ検査を5分で終わらせる。1時間以上かかる医師もいるだけに、「ゴッドハンド」とも呼ばれる。

 代表的な内視鏡治療は、ポリープ状のがんにワイヤを引っかけて電気で焼き切る「ポリペクトミー」と、平らながんに生理食塩水をかけて隆起させて切り取る「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」。ポリペクトミーやEMRでも治療が難しい場合、特殊な電気メスを使う「粘膜下層剥離(はくり)術(ESD)」を行う。

 横浜市緑区の主婦伊藤房子さん(69)は2008年10月、近所の病院で大腸に直径25ミリの隆起性のがんが見つかり手術を勧められ、同大で09年3月、EMRでがんを取り除くことができた。治療時間は約10分で、1日で退院した。伊藤さんは「痛みは感じなかった。治療はあっという間で、普段の生活に戻れました」と振り返る。

 大腸がんは、腸壁にどれだけ食い込んでいるかで進行度が判断される。がんが粘膜と粘膜下層の浅層までにとどまっていれば、内視鏡治療で取り除くことができ、日帰りや1日で退院が可能という。筋層近くまで食い込んでいると、腹腔鏡(ふくくうきょう)手術や開腹手術が必要となる。

 「内視鏡器具の発達で、がん細胞を100倍で見ることもでき、より精度の高い診断ができるようになった。治療の選択も広がっている」と話す。

 ただ、注意しなければならないのが、悪性度が高い「陥凹(かんおう)型大腸がん」だ。大腸がんは良性ポリープががん化したケースが多いが、陥凹型は最初からがんで、転移率も高い。それでも、早期であればEMRで取り除くことができるという。

 厚生労働省・がん対策推進室によると、部位別がん死亡数(2007年)で、日本人女性の第1位は大腸がん。日本人男性でも肺がん、胃がんに次いで第3位となっている。「2015年には男女とも第1位になる」と予測する。

 大腸がんは早期であればほかの臓器に転移しにくく、治りやすい。それだけに、「自分だけは大丈夫と思わず、症状の出ないうちに内視鏡検査を受けて欲しい。大腸がん治療には早期発見が大切です」と話した。(宮本俊一)

 陥凹型大腸がん 工藤副院長が1985年、当時医学界で存在を認められず、「幻のがん」とも言われていた表面がくぼんだ大腸がんを複数発見。96年にフランスの学会でこのがんの存在を証明し、世界的に注目された。進行すると肝臓に転移する可能性が高い。

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