がん患う芸術家が仏をテーマに「最後」の個展、一瞬の輝き表現/川崎

がん患う芸術家が仏をテーマに「最後」の個展、一瞬の輝き表現/川崎

がんを患い、声を失いながらも、絵を描き続ける人がいる。川崎市麻生区の芸術家水島一生さん(62)。会話は筆談。点滴での生活を余儀なくされたが、創作意欲は衰えない。20日から川崎市麻生区の「ギャラリー華沙里」で、仏をテーマに10代から描き続けた作品を集めた個展を開く。自身「最後」と見定める個展で、絵を通じた出会いを求め続ける。

 15歳から、さまざまな技法に親しんだ水島さんにとって、仏は最も好むモチーフの一つだ。石仏や壁画を見て「どうすればこのような表現ができるのか」と感動し、描き続けてきた。今回は、油彩画や版画、裏から色付けしたガラス絵など約200点を展示する。

 咽頭(いんとう)がんが見つかったのは、2007年1月。1度は手術で切除したが、同年暮れに再発。医師に「手術をしなければ余命1年」と宣告されたが、予定された手術をその3日前に断った。

 「手術すれば元通りの生活に戻れると思っていたが、違った。生きていることと、息をしていることは違う」。ベッドの上で生きながらえるよりも、たとえ1年でも体が自由に動く時間がほしい―。ホワイトボードに記される一つ一つの言葉が、重い。

 「最後まで努力しないと自分が一番後悔する」。宣告後も個展やグループ展などを積極的に開催し、気管切開で声を失ってからも米国旅行。昨年8月には、ひと月で富士山の絵約60点を描き上げた。「物の見方が変われば、どんなことでも楽しく感じられる。一瞬一瞬が輝いている」。余命わずかと宣告された身の上だが、「残された時間をどう生きるか。すべてのものに対する感謝の気持ちを、一生懸命生きることで証明したい」とたじろがない。

 そんな水島さんにとって、表現することとは―。「みんなで楽しみを共有すること。絵はコミュニケーションの大切な道具。絵を描いていて本当によかった」とつぶやくようにボードに記した。

 個展は23日まで。午前11時~午後6時(同日は午後5時)。入場無料。問い合わせは、同ギャラリー電話044(954)2333。

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