がん対策条例 「県民本位」を進める一歩に

がん対策条例 「県民本位」を進める一歩に

がんにかかる日本人は2~3人に1人。家族らを含めれば身近で直面する可能性はさらに高い。が、いまだに多くはがんが実際にふりかかった途端、不安の嵐のなかで適切な治療や情報を求めてさまようのが現実ではないか。
 がん対策を温かみのあるものにし、がんになっても支え合い安心して暮らせる地域社会を実現する。そんな県民本位の「県がん対策推進条例」を、県議会の超党派の議員連盟が中心になって成立させた。全国7番目となる。
 在宅医療の推進や、「県がん対策推進委員会」をもうけて3年ごとに検討することなど、ほかにはない意欲的取り組みが目を引く。
 がん発見の経緯や病状経過などの患者情報を収集、分析して治療法の有効性の判断などに活用する「がん登録」も取り入れた。個人情報保護とのかねあいから国の基本法では検討事項にとどまるのに比べ、ふみこんだかたちだ。
 予防と並んでがん対策のポイントとなるのが早期発見だ。そのための検診率向上には身近な自治体の役割が大きい。相談体制、緩和ケアの整備・充実なども地域のがんの傾向や患者団体の活動、医療体制と切り離せない。だからこそ条例化の意義がある。
 同時に期待されるのは、県などに施策や予算化を促す有力な根拠になることだ。真に望む医療を住む地域によらず等しくうけられる安心感は、患者の大きな支えになる。その一歩にしたい。
 見るべき点は条例制定までの過程にもあった。
 議連はフォーラムなどで患者や家族、医療関係者らの意見を精力的に取り入れた。議決も全会一致だった。
 条例は県、市町、保健医療関係者それぞれの責務を定める。県民には正しい知識の習得とともに、予防や検診受診に努めると明記している。
 まさに県民総ぐるみで進めねばならないわけで、その点、幅広い合意を得て制定にこぎつけた事実そのものが総ぐるみの第一歩だろう。
 もっとも現状は楽観できない。県の基本計画では国に準じて五大がんの検診率を50%以上にする目標だが、実際は10~20%台にとどまる。
 がん検診で要精密検査とされた人の精検受診率100%をめざす県独自の取り組みにしても、実際にがんの疑いがある人でさえ精検に必ずしも積極的でない裏返しだ。
 患者団体の後押しで条例制定の先陣を切った島根県では、患者の心を支えるサロンが20カ所以上にできた。がん診療の拠点病院で高度医療機器の導入に役立ててもらおうと募金活動も展開する。
 条例化で対策が前進し、患者の声も確かに届くと県民が実感できれば、意識の向上にもプラスになるはずだ

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