胃カメラ検査 心構えが大切 がん早期発見に威力

胃カメラ検査 心構えが大切 がん早期発見に威力

 「胃カメラ」や「胃の内視鏡検査」と呼ばれる上部消化管内視鏡検査は、多くの人が受ける検査の一つだ。胃だけではなく、食道と十二指腸も調べる。がんなどの早期発見・治療に役立っているが、万能ではない。検査の精度を上げるには、検査に向けた準備や注意点がある。 (鈴木久美子)

 「(胃カメラ検査を受けた際)『食道もよろしく』と依頼すれば良かったのか」

 神奈川県内の男性(69)は残念がる。昨夏、のどが詰まる感じがして病院で検査を受け、進行した食道がんが見つかった。その半年前に、胃カメラを入れて検査し、その時は「問題なし」だった。

 入院先で知り合った食道がんの患者は、初期でがんが見つかっていた。その患者からは、「胃カメラをのむときは毎回必ず、『食道もよろしく』と頼んでいて、見つかった」と聞いた。

 先端部にカメラの付いた直径約九ミリの電子スコープをのどから入れて、食道、胃、十二指腸を観察する「上部消化管内視鏡検査」。胃や食道の初期のがんでも、多くを発見できる。

 しかし、「施設によって発見するレベルや念の入れ方に差はある。中には(胃検診だからと)胃以外は、ほとんど素通りすることもあるだろう」と虎の門病院(東京都港区)の矢作直久・内視鏡部長は懸念する。

 前出の患者の体験談のように、検査時に医師らに一言伝えるのは有効だろうか。

 「漠然とではなく、食道がんにかかるリスクが高い人は、具体的に伝えたらいい」

 リスクが高い人とは、喫煙、飲酒をし、食道がんにかかった血縁親族がいる人。この三つのうち一つでも満たす場合は、「ヘビースモーカーなので食道が心配だ」などと具体的に、問診や検査時に伝える。検査前に、使用している薬の一覧表を医療機関に見せるのも有効だ。

     ◇

 「検診を受ける間隔も重要だ」と東京都多摩がん検診センター消化器科の水谷勝医師は言う。

 同センターの調査では、内視鏡検査で胃がんが発見された人のうち、前回の検査から二年以内だった人はほとんどが早期で見つかったが、受診間隔が三年以上空いていた人は半数が進行がんだった。

 水谷医師は「五年生存率は、早期がんでは90%以上だが、進行がんでは50%未満。二年に一回は検査を受けるよう勧める」と話す。

 内視鏡検査も万能ではない。数は少ないが、胃壁にもぐってがんが広がるスキルス型胃がんは見逃しやすい。腸に近い部分の胃の壁は、観察しにくい場所もあり「特に注意が必要」と水谷医師。

 ただ早期がんでは、胃も食道も五年に一度の内視鏡検査の方が、毎年エックス線検査を受けるより発見確率は高い。早期がんなら、手術より負担の少ない内視鏡治療も可能だ。

 どういう人が検査を受ければよいか。「四十歳以上や、胃痛、便の色が黒っぽい、体重が急に減った人も胃薬を飲む前に、検査を」と水谷医師は助言する。食道がんの場合は前出のリスクのいずれかを持っている人。胃がんでは、血縁親族に経験者がいるか、ピロリ菌検査で陽性だった人は受けた方がいい。最近、企業が健康診断時に血液検査でピロリ菌も調べ、精密検査で内視鏡検査につなげるところも出てきた。

 検査時ののどの苦痛をなくすため、鼻から内視鏡を入れる経鼻内視鏡も増えてきた。受診者は楽だが、画質は経口より劣る。矢作部長は「どうしてものどからがつらいという人は、受けないよりはいい」。

 「早く見つければ治療できる。無症状でも定期的に検査を受け、自分の身を守ってほしい」と矢作部長は呼び掛ける。

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