がんと闘い『歴史』見届け 昨夏発覚、協議で病院抜け出しも

がんと闘い『歴史』見届け 昨夏発覚、協議で病院抜け出しも

菅家さんとともに無罪を勝ち取った弁護団の一人、渋川孝夫弁護士(59)は、再審直前に発覚したがんと闘いながら法廷に立ち続けた。「冤罪(えんざい)は限りある人生を台無しにする。司法関係者はその怖さを知り、一つ一つの事件に丁寧に向き合うべきだ」とあらためて足利事件の教訓をかみしめている。

 「なぜ私ががんに。それも、こんな大事な時期に」。昨年七月、のどに違和感を覚えて受診した病院で、悪性リンパ腫と診断された。すでに菅家さんは釈放され、再審は目の前に迫っていた。

 日弁連が足利事件の支援を決めた二〇〇一年、過去に県弁護士会会長を務めた経歴から弁護団に加わった。段ボール三箱分の訴訟記録に目を通し、「初めは正直、半信半疑だった」。

 菅家さんに接見すると「再鑑定をしてほしい」と懸命に訴える。自白内容と遺体の傷が合わないなど不自然な点にも気づき、犯人ではないと確信した。

 それから足かけ九年。抗がん剤治療のために入院していた八月から九月にかけての二カ月間弱、「歴史的な事件。最後まで見届ける」と決め、地裁や検察との事前協議に病院を抜け出し駆け付けた。公判開始後も三週間に一度の点滴が続き、副作用で髪は抜け、体のだるさに苦しむ。

 冤罪を生み、見逃した司法関係者それぞれが背負う責任は重い、と強く感じる。「どんな小さな事件でも被告人のために全力を尽くす。その原点に戻るしかない」と力を込めた。 (横井武昭)

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