特集:がんを知る全国フォーラム 2人に1人はがん、向き合う心今から(その2止)

特集:がんを知る全国フォーラム 2人に1人はがん、向き合う心今から(その2止)

特集:がんを知る全国フォーラム 2人に1人はがん、向き合う心今から(その2止)
 ◇4都市で「全国フォーラム」 鳥越俊太郎さんら体験談
 ●徳島

 徳島市のフォーラムでは、中川さんが基調講演、フリーアナウンサーの関谷亜矢子さんと患者会「ガンフレンド」代表の勢井啓介さんが講演した後、3人によるスペシャルトークが行われた。

 ◆早期発見へ検診を--フリーアナウンサー・関谷亜矢子さん

 私は最近まで、がんの「劣等生」でした。そもそも、健康診断についてさえ劣等生でした。テレビ局に勤務していたころは「受けないと怒られる」というくらいの気持ち。退職してからは、子育てなどで忙しく、健診すら受けなくなりました。

 3年前、大腸がんのシンポジウムの司会を務め、早期発見の大切さを初めて知りました。司会をしながら、会場の皆さんに「検診を受けましょう」と呼びかけましたが、自分は一度も受けたことがない。良心がとがめ、初めて検査を受けてみようと思ったのです。

 内視鏡検査では、驚くことが分かりました。私の腸は、医師が「あなたは草食動物ですか」と驚くほど長かったのです。特に異常はなく、自分の身体を知るうえでも、検診の重要性を感じました。

 08年秋から、厚生労働省の「がんに関する普及啓発懇談会」の委員を務めています。子育てで検診の時間を作れない女性も多く、そのような一般の目線で、がんを知る際に何がハードルになっているかを話しています。

 「がんと分かると嫌だから、検診は受けない」という方もいますが、早期発見できればほとんどのがんが治ります。ぜひ検診に足を運んでいただきたいと思います。

 ◆治療には情報重要--患者会「ガンフレンド」代表・勢井啓介さん

 初めてがんと診断されたのは03年8月です。S字結腸にがんがあり、肝臓に転移していました。地元の総合病院で手術を受けましたが、わずか3カ月後の検査で、肝臓に3センチのがんが見つかりました。そのとき48歳、起業したばかりで、子どもも小さい。妻から「あと7年は元気に仕事してほしい」と言われました。この言葉が、その後の治療選択で良い方向に働きました。

 この時は「がんを取りきれるかも」との医師の言葉を信じ、手術を選択しました。ところが、1年後、肝臓で再発し、肺にも転移しました。やはり「がんを取って元気になりたい」と手術を選び、成功しました。

 その最後の手術から4年8カ月たちます。治療中は「今後どうしよう」と情報を探しました。ところが、各病院の治療実績の情報は少なく、患者が求める「自分のがん」についての情報を得ることは難しい状況です。

 情報がなければ、患者は治療方針を選べません。患者にとって、治療は後戻りできないのです。ある治療を選び、後で「違う方法を選んでおけばよかった」と思っても、元の状態には戻れません。患者が悔いのない治療を選ぶため、相談や必要な情報を得られる体制が必要です。

 ◆スペシャルトーク--選べぬ治療…

 ◇セカンドオピニオンが重要--中川さん/「病院巡り」不要な仕組みを--勢井さん
 中川 日本のがん患者は、治療を選ぶことができるにもかかわらず、ほとんど医師に言われるままで、選んでいません。選択肢が他にあることを知らないためです。普段の買い物では、皆さん、あれこれ迷いますよね。医療でも同じように、セカンドオピニオンなどで別の医師の意見を聞いたり、迷って選ぶことが大切です。

 関谷 勢井さんは、がんになる前は、どの程度がんの知識を持っていましたか。

 勢井 自分の経験を振り返ると、病気になって初めて知ることばかりでした。セカンドオピニオンのため、他の先生を訪ねる際、主治医が快く紹介状を書いてくれるか、と不安に思う患者が多いようです。患者がより良い治療法を求めて病院めぐりをする「ドクターショッピング」をしないですむ仕組みが必要です。

 中川 がん対策基本法には「セカンドオピニオンの充実」が盛り込まれましたから、主治医が嫌な顔をしたら「法律違反」ともいえます。命にかかわることですから、患者にとって当然の権利です。ダイコンやカボチャを買うとき迷うのに、命のことで迷わないのはおかしなことです。そんな当たり前を、皆の当たり前にすることが求められています。

 ●横浜

 横浜市のフォーラムでは、中川さんが基調講演、女優の仁科亜季子さん、がん患者支援プロジェクト代表の三浦秀昭さんが講演した後、3人によるスペシャルトークが行われた。

 ◆子宮頸がんは予防も--女優・仁科亜季子さん

 私の子宮頸(けい)がんは38歳の時に偶然見つかりました。「6歳と8歳の子どもを残して死ぬことは絶対にできない。せめて10年生きていたい。がんと前向きに闘おう」と覚悟しました。

 6月に入院して抗がん剤治療を受けました。ひどい吐き気に悩まされ、脱毛の早さに衝撃を受けました。8月に手術で子宮と卵巣を摘出しました。放射線治療を経て10月に退院しました。退院後にも再発の恐怖感があり、落ち込むこともありました。

 子宮頸がんは年間約1万5000人が発症し、3500人が命を落とします。子宮頸がんの検診率は20~24%と非常に低い。早期発見、治療のために、検診を受けてほしいと思います。

 子宮頸がんは唯一、予防できるがんです。昨年、主原因であるヒトパピローマウイルスの感染を予防するワクチンが日本でも認可されました。ワクチンは10~14歳の女性に3回接種します。1回1万2000円ほどかかりますが、多くの女性がワクチンを接種し、20歳を過ぎたら定期検診を受けることを願っています。

 ◆不安ない社会作りを--がん患者支援プロジェクト代表・三浦秀昭さん

 2003年肺がんと診断されました。7カ月入院して、放射線治療と抗がん剤治療を受けました。「もう病院から出られない」と思う時もありました。会社に復帰した後、脳転移が見つかりました。先輩のがん患者と話す機会があり、「人のためになることをやってみたらどうか」と言われ、会社を辞め活動を始めました。

 今、がんと就労、お金の問題がクローズアップされています。薬が高い、がん患者がいかに就労するか、働きながらどうやってがんを治すのかという問題です。社会が解決しなければならない課題だと思います。

 私たちは「リレー・フォー・ライフ」の活動に取り組んでいます。これは1985年に米国で始まった活動です。08年には全米5500カ所で開催され、450億円の寄付が集まっています。日本では07年から実施され、09年には14カ所で開催し、2万4900人が集まりました。

 がんになっても不安のない社会をどうつくっていくのかが我々に課せられた問題です。夢と希望を持って生きることが必要だと思います。

 ◆スペシャルトーク--がんと分かって…

 ◇「明るく生きる」が一番の鍵--仁科さん/「生活の質」守る治療が必要--三浦さん
 中川 自覚症状はあったのですか。

 仁科 内科の先生と更年期障害の話をしたことがきっかけで検診を受けて、見つかりました。

 三浦 同僚が結核になり、精密検査を受けて見つかりました。

 中川 お二人とも症状がなかったわけですね。早期がんで見つけるには、検診が大事です。早期の肺がんは放射線を4回かけるだけで、手術と同等の効果があります。

 三浦 放射線治療を受けた時、午前中だけ通院してそれから仕事をすることがありました。QOL(生活の質)を守る治療が今後必要だと思います。

 仁科 がんはならないに越したことはないのですから、予防が大切です。日本は予防医学に対する認識が低いように思います。

 中川 会場から仁科さんに質問が来ています。がんを体験されて感じていることは。

 仁科 患者が明るく生きていくことが、がん細胞をやっつける一番の鍵だと思います。私は子どもたちのためにということが心の支えになりました。

 中川 がんにならないためには、禁煙、野菜や果物を十分取る、適度な運動が大切です。それとともに検診を受けることが重要です。

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 ◇徳島会場(2月20日)
 主催 毎日新聞社、徳島新聞社

 後援 徳島県、徳島市、徳島県医師会、四国放送

 協賛 アフラック

 協力 アフラック徳島県アソシエイツ会

 ◇神奈川会場(2月27日)
 主催 毎日新聞社、神奈川新聞社、神奈川県

 後援 神奈川県医師会、テレビ神奈川、FMヨコハマ

 協賛 アフラック

 協力 アフラック横浜アソシエイツ会

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 ■人物略歴

 ◇関谷亜矢子
 1988年国際基督教大卒、日本テレビ入社。「ザ・サンデー」「スポーツMAX」などを担当。結婚を機に2000年に退社し、フリーアナウンサーとして活躍。厚生労働省「がんに関する普及啓発懇談会」メンバー。

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 ■人物略歴

 ◇勢井啓介
 1955年徳島県生まれ。2003年森田技研工業を起業。04年に同県のがん患者会「ガンフレンド」を設立し、代表を務めている。

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 ■人物略歴

 ◇仁科亜季子
 1972年NHKドラマでデビュー。NHK大河ドラマやTBS「人間の歌シリーズ」などで活躍。79~98年は芸能活動を休止、99年に芸能界に復帰。近年は自身の経験をもとに、がんに関する講演をするなど、幅広く活動している。

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 ■人物略歴

 ◇三浦秀昭
 1956年北海道生まれ。2003年にがん告知を受け、05年に金融関係の会社を退職。NPO法人がん患者団体支援機構副理事長。

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