チリ震災「がん患者治療できない」 日系医師が支援訴え

チリ震災「がん患者治療できない」 日系医師が支援訴え

2月末のチリ大地震で被害が大きかった同国中部の都市コンセプシオンで、がん治療の中核となっていた病院が被災し、医療ケアを万全の態勢で施せなくなった。ここで勤務していた日系チリ人の医師が、国際的な支援の拡大を訴えている。

 フェルナンド・イタロー・カワグチ・パディラさん(48)は、首都サンティアゴ生まれ。日本人の父とチリ人の母を持つ日系2世のがん専門医だ。日本の国費外国人留学生として、岐阜大医学部で消化器腫瘍(しゅよう)学をおさめた。

 勤務先のコンセプシオン大学病院は定員400床だが、入院患者は常に満員。廊下までベッドがはみ出て、ふだんは500人が入院している。うち7割が、がん患者だ。

 そこを地震が襲った。老朽化した大学病院の建物がいつ倒壊するか分からないため、立ち入り禁止になった。

 入院患者は全員、自宅に戻された。レーザーでがんを切除しなければならない人や、薬を毎日投与する必要のある人にもまったく治療が出来ない状態が、1週間以上続いた。ワクチンや医薬品の不足も深刻だ。

 病院別棟にある事務所を臨時の治療室として使い、外科や内科の治療に当たっているが、設備も不足し、まともに機能していないという。

 今月5日、取材に応じたカワグチ医師は「病院に来た患者の中から、新型の豚インフルエンザの患者が3人出た」と明らかにした。地震が起きる前まで、この病院で、新型インフルの患者を診たことはなかった。「水道の復旧が遅れ、食料事情も悪い中、免疫力が落ちた患者がかかっている。このまま大流行する恐れもある」と懸念する。

 カワグチ医師と、同じく医師の妹、医学生の娘の3人はボランティア活動もしている。コンセプシオンの地元ラジオ局の呼びかけで住民たちが互助的に作った「薬バンク」に薬を求めてやってくるがん患者の診察や、薬の処方について相談にのっている。
日本では、神奈川県平塚市に親族がおり、震災後、メールが届いたという。よどみのない日本語で「地震でコンセプシオンの町がなくなった、と思っているみたい」と苦笑いした。

 だが、それでも「ご無事ですか? 必要なものがあれば遠慮なく言って下さい」と気遣ってくれる日本の親類の存在を、「とにかくありがたく感じる」と話していた。

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