子宮頸がん:「予防の時代」 国際学会…「ワクチンの啓発」「効果的な検診」主に議論

子宮頸がん:「予防の時代」 国際学会…「ワクチンの啓発」「効果的な検診」主に議論

モナコで2月に開かれた世界最大の子宮頸(けい)がん学会「EUROGIN(ユーロジン)」を取材した。約2000人が参加した大規模な学会で、議論の大半はワクチンの効用と効果的な検診、そして市民への啓発のあり方に割かれていた。子宮頸がんは「予防の時代」に入ったことを強く印象づけられた学会だった。【江口一】

 子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)のうち一部のハイリスク型の持続感染が原因。ワクチンにより、ハイリスク型の7割を占める16、18型の感染を防ぐことができる。子宮頸がん征圧をめざす専門家会議(議長、野田起一郎・前近畿大学長)は、ワクチンについて、11~14歳の女子を「第一に接種すべき対象」、15~45歳の女性を「次に接種すべき対象」に挙げている。

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 対策の第一歩は、病気やワクチン、検診の有効性を正確に理解してもらうことだが、学会では日本と同様、各国ともこうした点に苦労している様子がうかがえた。

 スペイン、ベルギー、ドイツの18~50歳の女性約6000人への調査では、HPVに感染する可能性について、6割以上が「知らなかった」「ないと思っていた」と回答した。実際には大人の女性なら誰でも感染の可能性があるウイルスだ。他にも多くの女性が検診の意味や重要性を理解していないことが判明。調査したスペイン産科婦人科学会のコルテス氏は「情報提供や教育で、婦人科医が適切な役割を果たすべきだ」と訴えた。アイルランドからは「女性に適切な助言をするには、まず医師への専門教育と情報提供が重要だ」との報告もあった。

 スウェーデン・ウプサラ大の調査では、女子高校生の多くがワクチン接種に前向きだが、7割以上の生徒は「もっと学校の看護師や家庭医から情報がほしい」と回答した。仏リヨン大のボルヌ氏は、「自分の娘は関係ない」という親の知識不足がワクチン普及の障害になると指摘。アイルランドのモートン氏は、インターネットの会員制交流サイトの活用も情報伝達には有効と述べた。

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 現在の検診は、採取した子宮表面の細胞を見て異常を調べる「細胞診」が中心だ。厚生労働省は20歳以上の女性に2年に1回、細胞診による検診を受けるよう勧めている。一方、採取した細胞を検査機械にかけ、HPVへの感染を判定する検査も実用化している。

 検診方法について、オランダから「細胞診とHPVテストの併用検診で信頼性が増す」と主張する報告があったが、米国の研究者からは「科学的には正しいが、費用対効果から考えると政治的にはノーだ」との現状認識も示された。

 ワクチンの普及で今後は、感染者自体も確実に減ると予想される。このため、ワクチン接種者で、HPVテストと細胞診の両方に異常がない場合、がんのリスクは小さいとして、国際的には検診間隔を延ばす検討も始まっている。

 世界的に検診は成人を対象に実施されているが、オランダのバーコフ氏は「今後は初めて検診を受ける年齢の見直しも必要」と述べた。

 オランダの別の研究者は「ワクチン接種率が70%以上なら、未接種の女性の発症リスクが大幅に減る」と指摘した。

 HPVが子宮頸がんの原因であることを突き止めて、08年ノーベル医学生理学賞を受賞した独のハラルド・ツア・ハウゼン氏も講演。「ワクチン導入の際に議論されるべきは、接種対象の年齢、男子への接種の是非、検診離れを招かないか、などの点だ。女性のがんの発生をかなり減らすことに貢献するだろう」と話した。

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