性教育どこまで 子宮頸がんワクチン運用で戸惑い 

性教育どこまで 子宮頸がんワクチン運用で戸惑い 

若い女性の間で急増している子宮頸(けい)がんの予防ワクチンをめぐり、10代前半の児童や生徒への公費助成を実施する自治体関係者が対応に苦慮している。子宮頸がんは主に性交渉によって感染・発症することから、ワクチンの有用性を理解するには一定の性知識が必要になる。性教育にどこまで踏み込むべきか、現場の戸惑いは大きい。(中務庸子)

 子宮頸がんは「ヒトパピローマウイルス」に感染して発症する。国内では年間1万5千人が発症し、約3500人が死亡。ワクチンは接種後、長期にわたって抗体が維持されることから、性交渉を経験する前の若い年代が有効とされる。

 ワクチンが昨年秋に国内で解禁されたことに伴い、接種費用(4万5000~6万円)を自治体が公費で負担する動きが広がり、兵庫県内では明石、三木、養父市が本年度から実施する。そこで直面する課題が、性交渉によってウイルスに感染するという疾病の特性をどう伝えるかだ。

 明石市は小学6年~中学3年を対象に全額を助成。市地域医療課は、がん予防の観点から「性交渉には感染リスクがあることも併せて啓発することが必要」と説明する。ただ、同市教委など教育関係者は、現在の学習指導要領では中学3年で初めて「性的接触」を学ぶことなどから、性交渉に言及した性教育には慎重だ。「ワクチンを打てば性交渉も大丈夫との誤解を招きかねない」と懸念するなど、寝た子を起こしたくない‐というのが本音のようだ。

 一方、養父市は対象を中学1年に絞った。産婦人科医らとも協議した結果、「性に対する正しい理解は小学生で無理と判断した」とする。

 先進的に取り組む埼玉県志木市では、保健の授業などで子宮頸がんについて教えるよう、関係者が調整しているという。

 兵庫県立がんセンター(明石市)の西村隆一郎院長は「子宮頸がんの急増は性交経験の低年齢化が原因とみられる。中学の高学年には性交渉によって感染すると伝えるべきだ。保護者や教師が正しい知識を身に付けた上で、対応を考えてほしい」と話している

トラックバック&コメント

この記事のトラックバックURL:

まだトラックバック、コメントがありません。


金大がん研究所 角間に移転 機動力アップ 除幕式 組織変更、12分野に再編 »
« 金沢大がん研 除幕式