「そっくり」遺族感涙 がん闘病、15歳で散った少女の映画

「そっくり」遺族感涙 がん闘病、15歳で散った少女の映画

23年前、骨肉腫と必死に闘い、15歳で生涯を終えた中学生、増岡育子さん(愛知県みよし市)を主人公にした映画「育子からの手紙」が、今月中旬以降、名古屋市など全国主要都市で上映される。地元での先行上映の前日となる2日、増岡さん役の女優・宮崎香蓮さん(16)が実家で霊前に手を合わせた。早世した娘の生涯の映画化に複雑な気持ちを隠せなかった両親も、目元がそっくりという宮崎さんと会うなり、涙した。

 地元有志がみよし市での上映を企画し、舞台あいさつに合わせて、遺族と宮崎さんに会う機会づくりを申し出た。遺族側からは「無理にではなく、本人が来たいなら」との回答だった。

 2日夕方、村橋明郎監督とともに仏間に上がった宮崎さんを見るなり、育子さんの父仂(つとむ)さん(67)は、ハンカチで目頭を押さえた。難病で体は不自由だが「ありがとう」と繰り返した。

 宮崎さんは、ピンクの封筒に入った、育子さんへの手紙を仏前に供えた。初めての主演での不安をつづり、「天国からはらはらして見ていたでしょう」と呼び掛ける内容という。育子さんの妹、千代子さん(36)は、手紙に驚き「育ちゃんそっくり」と口にした。

 中学1年で発病し左足を切断した故育子さんは、名古屋市内の病院では「痛い痛い」と泣きさけんだ。20分ほどの訪問中、壮絶な闘病生活を脳裏に刻み続ける遺族は、宮崎さんと見つめ合っても言葉を交わす余裕はなかった。だが、「本人はもういないから」と試写で見た映画の感想を語りたがらなかった母親の己恵子(きえこ)さん(63)が、最後にこう声を掛けた。「現実にいない人を演じるなんてすごい。健康でいろんな役を演じてくださいね」

 3日に午前、午後の2回、みよし市文化センターで開かれる上映会のチケットは既に完売。今年中に、市内にある4つの中学校でも上映される。

 宮崎さんは長崎県出身で、2006年の全日本国民的美少女コンテストで演技部門賞を受賞。今回が初めての主演映画となる。宮崎さんは「命は大切。映画を見て頑張ろうと思ってもらえればうれしい」と話していた。

  育子からの手紙  育子さんと病室のベッドが隣同士だった埼玉県の主婦、副島喜美子さん(72)が、苦しむ育子さんを励まし、手紙の交流を続けた様子を、1989年に「育子からの手紙」(筑摩書房)として出版。何度か映画化の話があったが実現せず、今回、原作と時代設定を変え映画が完成した。東京都と大阪府では17日から上映開始。名古屋市では24日から、東区の名演小劇場で始まる。

トラックバック&コメント

この記事のトラックバックURL:

まだトラックバック、コメントがありません。


治療士ががん闘病体験記 »
« 乳がん・子宮がん 画像検診 デジタル化