DNAの傷 光るタンパクでくっきり がん診断の精度向上 長崎大原研 被爆者研究を応用

DNAの傷 光るタンパクでくっきり がん診断の精度向上 長崎大原研 被爆者研究を応用

光るように処理したタンパク質を使ってDNAの傷を可視化し、がんに進行する可能性を判断する手法を、長崎大原爆後障害医療研究施設(長崎市)の中島正洋准教授(病理学)の研究グループが開発した。被爆者研究の過程で確立した手法を応用した。がん診断の精度が高まり早期発見にもつながると期待される。

 がんは、傷ついたDNAが誤って修復されることで細胞が変化、増殖して発症するとされる。研究グループは、チェルノブイリ原発事故の小児甲状腺がんと被爆者の甲状腺異常の関連を調べる中で「53BP1」というタンパク質がDNAの損傷部に集まる性質を持つことに着目。53BP1を蛍光色素で着色し、細胞に添加して傷を可視化する手法を編み出していた。

 この手法を用い、甲状腺がんや皮膚がんの患者から摘出した、がん細胞や正常細胞を調査。1細胞当たりの発光個所を「ゼロ」から「数え切れないほど多い」までの4段階に分けて解析した結果(1)正常細胞(2)がんに変化する確率の高い「前がん病変」(3)早期がん(4)進行がん‐の各段階で発光個所数が明確に異なり、診断手法としての有効性が確認されたという。

 傷の可視化により、顕微鏡で目視しているがんの病理検査の精度が増すとともに、傷の数や大きさを知ることで将来のがん発症リスクの把握につながる可能性もある。研究グループは現在、良性・悪性の判断が難しい子宮頸(けい)がんでの研究を進めており、すべてのがんでの応用を目指している。

 また研究グループは、皮膚がんにかかった被爆者と非被爆者の正常な細胞についても、この手法で比較。非被爆者では傷が3個以上ある人はわずかだったのに対し、被爆者の細胞では被爆場所が爆心地に近いほど3個以上の傷を持つ割合が高まる傾向を確認した。

 中島准教授は「被爆者の細胞は外見上正常に見えても原爆放射線の影響でDNAレベルの異常が起こっている可能性がある。こうした傷の解析データを積み重ね、非被爆者も含めた発がんの仕組み解明やリスク回避につなげたい」としている。

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