作家の井上ひさしさんが肺がんで死去

作家の井上ひさしさんが肺がんで死去

「父と暮せば」「吉里吉里人」「ひょっこりひょうたん島」など、笑いと社会批評を織り交ぜた戯曲や小説、エッセーを数多く発表、平和運動にも積極的に取り組んだ劇作家、作家で文化功労者の井上ひさし(いのうえ・ひさし、本名廈=ひさし)さんが9日午後10時22分、肺がんのため死去した。75歳。山形県出身。葬儀は近親者のみで行う。喪主は未定。

 昨年10月に肺がんが見つかり、抗がん剤治療を受けていた。

 上智大在学中に東京・浅草の劇場「フランス座」で文芸部員になり、執筆活動に。1964年放送開始の「ひょっこりひょうたん島」(共作)で注目を集め、72年に戯曲「道元の冒険」(71年初演)で岸田国士戯曲賞、小説「手鎖心中」で直木賞を受賞。権力と庶民、戦争責任といった重厚なテーマを、言葉遊びやユニークな人物描写で軽やかに描いた。

 渡辺美佐子さん主演の一人芝居「化粧」や「藪原検校」は海外でも高い評価を受けた。84年、自身の戯曲を上演する「こまつ座」を旗揚げ。広島で被爆した父と娘を主人公にした戯曲「父と暮せば」は黒木和雄監督で映画化もされた。

 幼いころの戦争体験から、反戦・反核や憲法擁護で積極的に発言。2004年には作家大江健三郎さんらと「九条の会」を結成した。日本ペンクラブ会長も務め、言論や平和を守る運動の先頭に立った。

 ほかの代表作に戯曲「しみじみ日本・乃木大将」「人間合格」「紙屋町さくらホテル」、小説「青葉繁れる」「四千万歩の男」。「ムーミンのテーマ」などテレビアニメの主題歌の作詞も手掛けたほか、「私家版日本語文法」など言葉に関する著作や農業問題での発言も話題を呼んだ。

 04年文化功労者、09年日本芸術院会員。読売文学賞、吉川英治文学賞、菊池寛賞など受賞多数。直木賞選考委員も務めた。(共同)

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