Dr.中川のがんから死生をみつめる:/52 日本の遅れ、韓国で実感

Dr.中川のがんから死生をみつめる:/52 日本の遅れ、韓国で実感

 先日、厚生労働省の担当官や国立がんセンターの研究者とともに、ソウルを訪問しました。目的は、韓国のがん対策を学ぶこと。日本人としては、忸怩(じくじ)たるものがありますが、がん対策の仕組みは、確かに韓国の方が進んでいます。

 日本の、がんの治療技術は世界トップレベルですが、がん検診やがん登録といった、がん医療を支える「インフラ」は、かなり水をあけられています。現地では、金浦空港から深夜、ホテルに向かうタクシーのタイヤがパンクするなど、ハプニングも多かった視察ですが、日本のがん対策の遅れを実感するほろ苦いものになりました。

 早期のがんは、自覚症状がありません。がんの症状が出たら「進行がん」といえます。このため、がんを早期に発見するには、元気なときから検査をする「がん検診」が必要になります。つまり、「がんの早期発見=がん検診」なのです。

 しかし、日本のがん検診の受診率は2割程度で、先進国では最低レベルです。たとえば、一番検診が有効と言われる子宮頸(けい)がんの受診率は、アメリカ84%、イギリス79%ですが、日本は21%と大きな開きがあります。「早期がん発見=がん検診」ですから、日本には進行がんとしてがんが発見される人が多いという理屈になります。

 さらに、最近は受診率が一層低下しているというデータもあります。国は2年後、がん検診受診率を50%にするという目標を立てていますが、現実は厳しい状況と言わざるを得ません。

 一方、韓国では検診の受診率が年々上がり、2004年に39%だった受診率は、09年は53%となっています。テレビをつけると、政府によるコミカルな「がん検診CM」が繰り返し放映されていました。昨年の韓国人女性の受診率は57%に達し、男性の46%より10%以上も高くなっています。韓国では女性を中心に、「がん検診ブーム」が起こっているようです。

 韓国のがん対策の優れた点は、素直に学ぶ必要があるでしょう。次回は、韓国のがん対策の特徴や問題点を紹介したいと思います。

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