子宮頸がんワクチン 接種普及多い課題

子宮頸がんワクチン 接種普及多い課題

「早期発見・早期治療」から「予防」へ――。子宮頸(けい)がんワクチンが昨年末から国内で発売され、接種が始まった。県内では魚沼市を始め3市町が、接種を希望する中学生らを対象に公費助成を始める。ただ、関心はまだ広がっていない。自己負担の場合は費用が高額になることもネックとなり、普及に向けては課題も多い。(伊木緑)

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 子宮頸がんは性交渉によって感染する発がん性の「ヒトパピローマウイルス(HPV)」が原因で起きる。発がん性HPVには女性の約8割が一生に一度は感染するといわれる。ほとんどは感染しても自分の免疫でウイルスが自然に排除されるが、1割ほどは感染状態が続き、がん化するケースがある。発がん性HPVは一度排除されても何度でも感染する。

 ウイルス感染が原因のため、ワクチンで感染を予防できる。15種類ほどある発がん性HPVのうち、「16型」と「18型」ががんの原因の7割を占める。昨年9月に国内で初めて認可されたワクチン「サーバリックス」(英グラクソ・スミスクライン社)は、この2種類のHPVに対するワクチンだ。

 国内では接種対象年齢は10歳以上の女性。性交渉を経験する前の10代前半で接種すれば、7割以上の子宮頸がんが予防できるという。性交経験のある成人女性でも新たなウイルス感染を防げるため、予防効果はある。

 ただ、ワクチンはすべての発がん性HPVの感染を防げるわけではないため、がん検診も受けることが重要。日本では検診受診率がわずか20%程度。定期検診で前がん状態(異形成)を発見して治療すればがんにはならないため、ワクチン接種と検診を組み合わせれば、子宮頸がんはほぼ100%防げる。

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 ワクチンは計3回接種する。1回目の1カ月後に2回目、半年後に3回目を打ち、初めて十分な抗体ができる。価格は1回1万2千円。医療機関それぞれの諸費用などが加わると、3回で計5万円ほど。現在は保険はきかず、全額自己負担だ。

 魚沼市はサーバリックスが発売される直前の昨年12月、全国で最も早く、接種費用の公費助成に名乗りを上げた。今年度から、接種を希望する中学1年生に全額助成する。今年度対象となるのは216人で、全員分の810万円の予算を組んだ。

 全国では現在、30超の自治体が全額や一部助成を表明している。県内では南魚沼市と湯沢町も今年度からの全額助成を決めており、中学生を軸に対象学年を検討中だ。

 だが、多くの自治体では助成の予定がない。新潟市は「国が今、任意ワクチン全般の見直しをしている。子宮頸がんワクチンを公費助成の対象にしてもらえるよう働きかけている」。長岡市も「国によるワクチンの検証や県の動きをみてから」としている。

 海外では学校で無料接種している国も多いという。日本産科婦人科学会や日本小児科学会は、11~14歳の女児に対し、公費負担で接種するよう国に提言している。

 日本産婦人科医会の県支部長を務める「とくなが女性クリニック」(新潟市中央区)の徳永昭輝院長は「医療機関はボランティア的に、できるだけ安く実施すべきだ」、
「保護者は、子ども手当をワクチン接種の費用に回してあげて」と呼びかける。

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