乳がん治療 細やかに

乳がん治療 細やかに

拠点病院と開業医 診療録共有
 手術後もケアが必要な乳がんの治療で、岩手医大は今月から、手術した拠点病院と地元の開業医が、あらゆる診療記録を一つのファイル(パス)で共有するシステムを県内で初めて導入した。「地域連携クリニカルパス」と呼ぶ方式で、盛岡での連携をモデルケースに今後、県内の医療圏ごとにネットワークを広げていく計画だ。医師不足の中、医療の効果的な役割分担が進むことが期待される。

 乳がんは女性が最もかかりやすいがんで再発防止のために長期間のケアが必要とされる。しかし、拠点病院と開業医の連携は進んでいないため、患者は定期検診でも拠点病院に行くなど集中しがちだった。

 患者にとっても、地元で安心して問診や検査が受けられれば通院の負担が減り、きめ細やかな診療を受けられる。

 パスには、診療計画が記載され、医師が、発症から手術記録、術後の経過、投薬のほか、問題発生時の対処法や留意点を書き入れていく「共同診療計画表」や医療機関の「役割分担表」で構成されている。

 患者は、医大など拠点病院での手術や放射線治療などの急性期治療を終えた時点で退院し、開業医への通院に切り替える。かかりつけ医の定期的な問診や視触診、検査で再発や合併症など異常が見つかれば、速やかに拠点病院に戻り、専門的な治療を受けられる。

 開業医にとっても、患者の紹介を受けられるほか、最新の医療情報を入手できるメリットがあり、医大の呼びかけに、第1弾として盛岡市の「ブレスト斉藤外科クリニック」が17日に提携に同意した。今後、提携先を増やし、将来的に医療圏ごとの連携ネットワークの整備を目指す。

 導入の背景には、乳がんを患う女性の急増がある。新規の患者は2004年、全国で5万人を超えた。一方、県の乳がん専門医は8人しかおらず、全国的に見ても少ない。

 同様のパスは、脳疾患などでは一部導入されている。がん治療への適用は、国が07年に閣議決定した「がん対策推進基本計画」に明記されているが、全国的にも進んでいる都道府県は少ない。乳がんで成功すれば、ほかのがん治療にも転用が期待できるとして、医療関係者の関心は高い。

 旗振り役の同大外科学講座の柏葉匡寛講師は「乳がんは急性期治療がしっかりすれば、日常に戻りやすい。(拠点病院と地元開業医の)2人の主治医がいると考えてもらえれば」と話している。

トラックバック&コメント

この記事のトラックバックURL:

まだトラックバック、コメントがありません。


メルクセローノ 抗がん剤アービタックスの供給能力を強化 »
« がん治療の寛平 北京経由でサンフランシスコへ