Dr.中川のがんから死生をみつめる:/53 韓国は医療情報一元管理

Dr.中川のがんから死生をみつめる:/53 韓国は医療情報一元管理

 日本が目標とするがん検診受診率50%を達成しているのが、お隣の韓国です。その理由を考えてみます。

 韓国は、予防医学に力を入れており、がん検診は健康保険を使って受けることができます。風邪薬をどこの病院でももらえるように、指定された医療機関であれば、全国どこでも受診できます。たばこ税の一部が費用に充てられ、自己負担も、所得に応じて無料か1割と安価です。

 韓国も、日本と同じように「国民皆保険」制度を導入しています。しかし、健保組合、協会けんぽ、共済組合、国民健康保険、船員保険、後期高齢者医療制度など、多数の健康保険が存在する日本と違い、韓国には「国民健康保険公社」しかありません。結果的に、国民の医療情報は、この公社に集約されます。

 また、日本で議論されている「社会保障番号」にあたる「住民登録番号」の存在も重要です。この番号に基づいて、がん検診やがん登録のデータが管理されていますから、同姓同名の人がいても、引っ越しをしても、きちんと把握されます。

 ソウル近郊のある保健所を訪問しました。検診対象者、受診の有無などを、パソコン上で一目で見ることができました。そして、受診していない人には、電話などで受診を勧めていました。いまだに紙の書類に頼る日本とは決定的に違います。

 ところで、韓国では、女性を中心に「がん検診ブーム」が起きています。ただし、このブームには、不要な検診による「過剰診断」の問題もあります。

 現在、韓国女性に一番多いがんは、甲状腺がんです。日本のがんのトップは乳がんです。日本の臓器別のがん患者数で、甲状腺がんは上位10にも入っていませんから驚きです。民間のがん検診によって、甲状腺の超音波検査が広く実施されるようになったのが、大きな要因です。

 交通事故で亡くなった人の臓器を調べた米国のデータによると、60歳代の女性の全員に甲状腺がんが見つかっています。ほとんどの早期の甲状腺がんは治療の必要はなく、本来は「知らぬが仏」がベストです。がん検診の負の面をふくめて、韓国から学ぶことはたくさんあります。

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