子宮頸がん 予防の実を上げるには

子宮頸がん 予防の実を上げるには

 子宮頸(けい)がんを予防するワクチンの接種費用を、自治体が助成する動きが全国で広がっている。県内でも下伊那郡根羽村や南佐久郡南牧村が、接種を希望する中学生に全額を補助する。

 健康保険がきかないため、通常は3回の接種に5万円ほどかかる。この高額の自己負担が普及のネックとなっている。自治体の助成は、追い風となるだろう。

 ただ、予防の実は、検診などさまざまな施策の歯車がかみ合ってはじめて上がる。自治体や国が取り組む課題はほかにもある。

 頸がんを引き起こすのはヒトパピローマウイルスだ。主に性交渉で感染する。日本産科婦人科学会は、感染の可能性が低い10代前半のワクチン接種を勧めている。

 接種を受けるかどうかは、保護者の判断に委ねられる。小中学生の娘にどう話したらいいか-。悩む親も少なくないだろう。

 なにしろ情報が少なすぎる。ワクチンの効用、安全性の評価、副反応のリスク。国の十分な情報提供が、親の判断の前提になる。

 性教育にも力を入れたい。ワクチン接種の必要性を考えることが、自分の体や性を大切にすることにつながるよう、学校で、親子で話し合う時間を持ちたい。

 たとえば根羽村は事前に、生徒と保護者を対象に、性教育も含めてワクチンへの理解を深める場を設ける考えだ。こうした現場の取り組みを工夫したい。

 とともに、忘れてならないのは子宮がん検診の受診が、予防の土台になることだ。

 ワクチンはすべての頸がんを防げるわけではない。有効期間にも限りがある。10代で接種しても、20代からは検診が欠かせない。

 先進国の受診率は7~8割台。検診を受けていれば、がんになる前に異常に気づける。予防できるがん、というのが世界の常識だ。

 日本は立ち遅れている。受診率は2割ほどと低迷し、若い女性の患者が急増している。年間の死者はおよそ3500人に上る。広報の徹底と受診率の引き上げが、国と自治体の責務である。

 海外では効果が認められているワクチンが日本では任意接種にとどまり、国の費用負担もない-。この状況は、肺炎球菌ワクチンや、乳幼児の細菌性髄膜炎を防ぐヒブワクチンにも共通する。公費助成は自治体頼みだ。

 いまは住んでいる市町村の財政力や個々の経済力で、命に格差が生まれている。政府は、予防接種行政そのものの見直しを急がなくてはならない。

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