「勤務中に石綿浴び中皮腫」死亡した教員の労災認定

「勤務中に石綿浴び中皮腫」死亡した教員の労災認定

天井などにアスベスト(石綿)が吹き付けられていた滋賀県内の小学校の体育館で授業を担当し、2002年に中皮腫で死亡した男性教諭に対し、地方公務員災害補償基金審査会(東京)が今年3月、死亡は勤務中に石綿にさらされたのが原因だとして、公務災害(労災)と認める裁決をした。遺族らが22日、会見して明らかにした。教職員の石綿被害が公務災害と認められたのは全国初とみられる。

 遺族が05年に認定請求したが、同基金の県支部などが2度にわたって退けていた。

 労災が認められたのは、古沢康雄さん(故人)。1973年4月から旧甲西町立岩根小学校で3年間勤務し、体育の授業を担当。01年に「悪性胸膜中皮腫」と診断され、02年4月に56歳で死亡した。同校の体育館の天井や壁の一部には、89年の全面撤去まで石綿が吹き付けられていた。

 裁決は、教育委員会が提出した資料や、遺族らが集めた当時の同僚や教え子の証言などから、体育館は児童のほか地元の人らにも広く利用され、高さ7.3メートルの天井によくバレーボールなどが当たって石綿が空気中に飛散しやすい状態だったと認定。

 体育を教えていた古沢さんは他の教諭と比べて体育館で長時間勤務していたことから、「勤務中に石綿にさらされたことにより中皮腫を発症した」と結論づけた。

 古沢さんの遺族は05年、同基金滋賀県支部に認定請求したが、「石綿が散乱する状況があったとは考えづらい」と退けられた。次いで遺族が審査請求した同支部審査会は、ボールが天井に当たることなどによる石綿飛散の可能性を「否定できない」としつつ、「ボールが当たる機会が多かったのはレクリエーションの場などであり、公務中の被災ではない」と棄却していた。

 古沢さんは07年、石綿健康被害救済法(石綿新法)に基づき、石綿による中皮腫と認められた。認定を受けると「特別遺族弔慰金」などとして300万円が支給される。労災認定により、さらに遺族年金などが支給される。

 環境省の調査によると、石綿疾患の中皮腫や肺がんにかかり、06~07年度に石綿新法による認定を受けた教員は78人。基金によると、勤務中に石綿被害を受けたとして、これまで古沢さん以外に10人の教員について公務災害の認定請求があったが、認定された人はいない。

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