大和路密着:「県ホスピス勉強会」結成10年 検診受診率アップ目指す /奈良

大和路密着:「県ホスピス勉強会」結成10年 検診受診率アップ目指す /奈良

◇「がん医療充実」今年、名称変更
 県内にホスピス(緩和ケア病棟)を開設しようと、住民たちが結成した「奈良県ホスピス勉強会」(馬詰真一郎会長、約400人)が10年を迎え、主催する勉強会は5月に50回の節目を迎える。この間、県内にはホスピスが開設され、終末期医療への理解も進んだが、依然として課題は多い。今年4月に「奈良県のホスピスとがん医療をすすめる会」に名称を変更し、がん医療の充実に向けて、活動の幅を広げ始めた同会を取材した。【大久保昂】

 「このままでは奈良県は、ホスピスがない最後の県になりますよ」。00年秋、河合町で開かれた講演会で、馬詰さんは壇上の医師の言葉にがく然とした。当時、県内のホスピスはゼロ。危機感を覚え、入所先の老人ホームの田島誠一園長(当時)に相談した。「他県では市民運動の結果、ホスピスができた。私たち2人でやりますか」

 同12月にホームページを立ち上げて会員を募集した。しかし、医療についての知識はほとんどなく、01年4月から2カ月に1回程度、医師や看護師を招いた勉強会を始めた。当初は約15人だった会員は半年後に約150人に増加。02年には、ホスピス開設を求める約3万8000人分の署名を集め、知事に提出した。

 こうした努力が実を結び、05年5月、国保中央病院(田原本町)に県内初のホスピス(20床)ができた。奈良市立奈良病院も緩和ケア病床(10床)の設置を決めた。

 しかし、近くで緩和ケアを受ける態勢にはほど遠い。緩和ケアの普及度を示す指標の一つ、人口1000人当たりの医療用麻薬の消費量は、奈良県は全国で29番目(08年)。ホスピス以外の医療機関では、普及が進んでいないのが実態だ。

 メンバーで上牧町の女性(64)は、約15年前に子宮がんの母親をみとった経験から、「各生活圏に一つは緩和ケアができる病院が必要」と指摘する。母親はがんが背骨に転移したが、県内の病院では痛みを取ることができず、大阪市の病院まで通わざるを得なかった。「往復2時間かかって大変だった。痛みを取れる医師を県内でもっと育成してほしい」と訴える。

 一方、馬詰さんが懸念するのが、がん検診受診率の低さだ。県が昨年11月に策定した「がん対策推進計画」の検討作業に加わった際、受診率の数値目標が焦点の一つになった。07年の調査では、肺がんは18・7%、子宮がんは18・0%で、いずれも全国で44位。数値目標は結局、国と同水準の「50%以上」に落ち着いたが、「奈良で50%は無理」という意見も出た。受診率アップの難しさを実感したことが、会の活動を広げるきっかけになった。

 ◇来月23日に50回目勉強会
 50回目の勉強会は、5月23日に県文化会館(奈良市登大路町)で、市民フォーラムの形で開く。参加費無料。問い合わせは同会(0745・33・2100)。

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