「患者力」で対策充実へ 県がん患者会対策条例要望

「患者力」で対策充実へ 県がん患者会対策条例要望

県内のがん患者会の横断組織「県がん患者会連合会」(田名勉会長)が「県がん対策推進条例」の制定を求めている。国のがん対策基本法に基づき、県がこれまで策定した計画は当事者の意見が反映されていないという「欠陥」を抱えているほか、がん対策予算も全国と比較して少ない―という現状に対し、「患者力」で県の意識変革を促し、がん対策の充実を図る動きといえる。4月末には県議会に陳情書を提出。6日には仲井真弘多知事に思いを訴える。
■負担重い県内
 「条例化されることで、施策を進めなければならないという県の後押しになる」と話すのは連合会の上原弘美事務局長。これまで患者たちは、県内の患者が困っていること、他県の条例の読み込み、他県の患者会との情報交換を通じて、県で本当に必要な施策について話し合ってきた。
 県内では「予防できるがん」と言われる子宮がんの死亡率が、人口10万人当たり全国ワースト。白血病、結腸がんも全国上位の死亡率だ。検診を受けやすい環境づくりや、患者本人、家族が気軽に相談できる支援体制、医療情報の提供など足りないことが分かってきた。また、県外で高度治療を受ける際には、治療費は高額療養費制度で軽減されても、県外への交通費、付き添いの家族の宿泊費などの助成はない。医療費以外の経費が患者や家族に重くのしかかっている。
 小児がんでは治療後、重度の障害を抱え生活する場合もあるが、その子どもたちが教育を受けにくい環境も浮き彫りとなった。

■責務明確な県外
 質の高いがん医療の実現やがんの予防、早期発見のために総合的ながん対策を推進することを目的に、行政の責務などを定めた「がん対策推進条例」は4月末現在、全国7都道府県、2市で制定されている。都道府県レベルで最も早く制定した島根県は、放射線治療装置など医療機器購入のためのがん募金を実施したり、県内各地にがん患者サロンが常設されているなど先駆的ながん対策で有名。
 そのほかの自治体の条例でも県の責務のほか、がん検診の受診などがんの予防、早期発見に努めるという県民の責務や、県のがん対策に協力するなど保健医療関係者の責務、がん対策推進協議会を開き、意見を聞くという知事の責務を明記したものもある。
 患者会連合会は県議会に訴えると同時に、県医務課などとも意見交換を行っている。上原事務局長は「がん対策基本法ができたことで国の意識が変わり、国の施策は拡充された。県内もともに条例制定に向けて動くことで、関係者の意識が変わり、つながるきっかけになると思う」と期待を込めた。

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